所英男が新妻にささげるＶ

　▽日本ＧＰファイナル▽バンタム級決勝、ライトヘビー級・フェザー級タイトル戦など▽１６日▽東京・有明コロシアム

　所、新妻にささげる初Ｖ−。バンタム級日本トーナメント決勝戦で元“戦うフリーター”所英男（３３）が“足関十段”の今成正和（３５）に３−０の判定勝ちを収め、初タイトルを手にした。リング上から夫人に“ラブコール”を送った。

　突然のサプライズ。マイクを手にした所が照れくさそうに「おヨメさん、誕生日おめでとうございます」とあいさつ。前日３２歳の誕生日を迎え、この日リングサイドで観戦していた奈々夫人に祝福の言葉を送った。今年２月に挙式以来、人生上り調子。５月のトーナメントで１回戦、準決勝と連勝。６月に神奈川県内にジムを開設。奈々夫人が社長を務め、経営も順調。勝利をささげることが、シャイな男の精いっぱいの感謝の印だった。

　１回、開始と同時に飛び付いてきた今成を真っ向から受けた。そのまま尻もちをついた今成に、パンチを２発たたき込んだ。「あこがれの大先輩」と尊敬する今成に対する鬼のようなパウンドだ。２回終了間際には右足にアキレスけん固めを極められかけて絶体絶命のピンチを迎えたが、巧みに逃れた。これが運命の分かれ道だった。

　「ヨメには勢い余って言ってしまった。恥ずかしく口ごもってしまった。日本一になれるチャンスは人生の中でもうないと思っていたので、すごくうれしい」と所。世界大会は９月に予定。元・戦うフリーターの戦いは終わらない。　（竹下陽二）