魁皇の負け方が、やっと魁皇らしくなってきた。妙な言い方だが、初日から3日目までの相撲には、あと何日土俵にいられるか、名人大関も寄る年波には勝てないということかと、最悪のことまで繰り返し繰り返し考えたものだ。
しかし、6日目の稀勢の里戦では、不十分だとは言っても、一方的に攻め込まれる対戦にはしないところを見せていた。稀勢の里という力士は、備えの固い相撲をとることに特徴がある。その備えを突き破るところまではいかなかったが、そこそこの攻撃ぶりは見せてくれたのだから、この変化は認めてやりたいと思う。惜しみつつ、勝つところまではいかなかったが、というところだろうか。
もっと遠慮ない書き方をすれば、中日を前にして、一番やりたくない相手だというところだろう。それが、稀勢の里の魁皇対戦成績、15勝12敗というところに表れているのだろう。
この不利な成績を残している相手に、序盤戦のあの不出来な仕上がりの中で、ここまで戦うということは、やはりそこそこの評価に値するのではなかろうか。
その対戦相手だった稀勢の里、好調関脇陣に一歩出遅れていた感じだったが、やっと五分に追いついてきたといえよう。一歩遅れていた稀勢の里が追いついてきて、どこまで活躍するかが、今場所の出来に直接響いてくるように思える。
関脇陣の活躍ぶりは、そのまま次期大関の顔ぶれに響いてくるが、まだ中日前だが、実力派の大関候補が顔をそろえているように思えないだろうか。
このところ、八百長事件も含めて、相撲について暗い話題が多いが、それらを一気に吹き飛ばすような、新進大関などの話題は、ぜひとも実現してほしいものである。 (作家)
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