◇名古屋場所(7日目)
珍事件が起きた。幕下の若龍勢−宇映の一番。もろ差しを許し、土俵際に追い込まれた若龍勢がうっちゃると宇映は転倒し、大の字に転がった。
軍配は若龍勢に上がったが、物言いがついて協議の結果、取り直しに。しかし頭部を強打した宇映が軽い脳振とうを起こしており、取組に臨めないと判断。審判長の湊川親方(元小結大徹)が「ただ今の一番は“痛み負け”で若龍勢の勝ちとします」と存在しない決まり手をアナウンスして騒動になった。
「何と言っていいか分からなくて“痛み負け”と言ってしまった。記録上は西方の力士が相撲をとれないということで不戦敗。東方の不戦勝ということです」と湊川親方は説明した。
思わぬ形で白星を拾った若龍勢は「自分では負けたかな、と。勝ちでいいのかなという気持ち。とにかく(相手の)無事を祈るだけです」と神妙な表情。一方、宇映は1時間余り支度部屋内の医務室で静養。「気分は治ったが、まだ足元がふらついている。もし具合が悪くなったら病院に行きます」と悔しさをにじませながら部屋に帰った。 (竹尾和久)
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