並びは背番号順? 笑顔で練習する(左から)沢、川澄ら日本イレブン=フランクフルトで(共同)
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【フランクフルト原田公樹】2011年女子ワールドカップドイツ大会で初優勝を目指すなでしこジャパンは17日、当地での決勝戦で、米国と激突する。決戦前日の16日はフランクフルト市内で最後の調整練習。主将のMF沢穂希は「金メダルしか考えていない」と宣言し、18年間の代表人生すべてを懸けて世界の頂点に立つことを誓った。
◆全員守備 全員攻撃
決戦前日の16日、世界各国の報道陣100人以上が見守るなか、なでしこジャパンはいつものように笑いあり、おふざけありのリラックスした雰囲気で汗を流した。フランクフルト市内の練習会場。ミニゲームで沢はいつも通り、中盤の底でボールを奪うと、左右へ振り分けた。
この最終練習を前に行われた前日会見で、主将の沢は「私一人だけじゃなく、みんなが100%、120%、力を出さないとボールは取れない」と言い切った。難敵・米国との決勝戦でもこれまで通り、なでしこの戦いはやはり全員守備、全員攻撃だ。
◆ボール支配率がカギ
勝負の分かれ目は、いかにボールを支配できるかだ。日本の今大会5試合のボール支配率は54〜61%。一方、米国は5戦で45〜55%。中でも延長PK戦にもつれた準々決勝のブラジル戦は50%、苦戦した準決勝のフランス戦では45%と支配された。
◆やってきたことを
日本の米国との通算戦績は3分け21敗で、13得点70失点。一度も勝ったことはないが、沢は「米国はポゼッションを取るというけど、うまくいかないと思う。日本はずっとやってきたことを続ければ大丈夫」という。一戦ごとに力を付けてきたなでしこジャパンなら、高いボール支配率を保てば、米国に初勝利し、「一番いい色のメダル」を獲れるはずだ。
決勝で1ゴールを決めれば、今大会通算5得点となり、ブラジルのFWマルタを上回り、単独得点王に。大会MVPに輝く可能性もある。
「米国にも弱点はある。日本も良さを出せば、得点も取れると思う」
◆最高の1試合にする
この米国戦が沢にとって173戦目の代表戦。18年前、15歳で代表デビューして以来、ずっと世界の頂点を夢見てきた。「代表へ入ったときは決勝へ行けるとは想像もしたことがなかった。自分を育ててくれた米国と決勝を戦えるのは何かの縁だと思う。疲れはあるけど、この試合にかけている。サッカー人生のなかで最高の1試合にしたい」と力強く言い切った沢。あとひと踏ん張りで、夢は現実になる。 (原田公樹)
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