五島市池田町の五島高校(前田功校長)の百人一首かるた部が、滋賀県で23日に行われる「第33回全国高校かるた選手権大会」団体戦に2年ぶりに挑む。4度目の出場だが、過去3回はいずれも決勝トーナメント進出を果たせていない。8人の女子部員たちは「決勝トーナメント進出は部の悲願。必ず達成する」と張り切っている。
4日、同校のセミナーハウス。部員たちの視線は、畳の上にずらりと並ぶ札に集中していた。独特の抑揚で上の句が読まれた途端、「パーン」と畳をたたく音が室内の静寂を破り札が宙を舞う。
コンマ数秒の速さで札を取り合う「競技かるた」は、その激しさから「畳の上の格闘技」とも呼ばれる。大会には40校が出場。3-4チームによる予選リーグを経て、8チームが決勝トーナメントに進出する。顧問の森久子教諭(国語)は「いかに正確に歌を暗記できるかが鍵」と語る。
「まだまだ未熟で全国で通じるレベルではなかった」。2年前の全国大会を唯一経験している3年の橋本佳奈主将(17)は、全国大会出場を決めた2月の県大会当時を振り返る。
部員全員が高校からかるたを始め経験は浅い。部員8人のうち5人が1年生だ。同校は長崎市までフェリーで約3時間半。練習試合もままならないが、部員一人一人の自主鍛錬と、過去全国大会に出場した卒業生が帰省時に練習に参加することで強化してきた。
1年の中村光さん(16)は「強くなりたい一心で練習している。大会には挑戦する気持ちで臨みます」と話す。8人の結束は固く「全員が強くなければいけない」と、7月に入ってからは休み返上で試合形式を中心に毎日3時間の全体練習をこなしている。
さらに自宅でも、かるたを素早く取る「払い手」や、上の句の「決まり字」を正確に覚える練習を重ねている。卒業生も電話やメールで激励したり練習方法の相談に乗ったりして常に気にかけている。
橋本主将は「同じ目標を持った仲間がいるから頑張れる。支えてくれた先生や先輩たちのためにも全力を尽くします」と闘志を燃やしている。
=2011/07/17付 西日本新聞朝刊=