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大飯1号機停止 電鉄困惑 節電ダイヤは...

  タンクの圧力低下トラブルで、営業運転への道が大きく遠のいた関西電力の大飯原発1号機(福井県おおい町)。運転再開の是非や、節電要請をめぐって、“振り回された”感の強い地元自治体や関西の鉄道関係者の間からは、憤りや困惑の声が聞かれた。

 “節電ダイヤ”は必要ない―と関電から伝えられたばかりの関西の大手電鉄各社は困惑を深めている。大飯1号機の停止で、電力供給の先行きは一転して不透明感を増すことになり、各社は関電からの具体的な説明を待った上で、節電ダイヤの導入の可否について検討を急ぐとみられる。

 「関電から『(節電ダイヤは)当面必要ない』という話をもらったばかりなのに、日に日に状況が変わるのでは、何ともいいようがない」

 ある私鉄関係者はため息をついた。

 関電の香川次朗副社長らは13~14日に電鉄各社を訪問。節電の手応えや供給力の積み上げから、「現状の需給バランスが続けば夏を乗り切れる」との見方を示し、今夏の節電ダイヤは回避される可能性が高まっていた。

 その際、「発電所のトラブルや需要の急増など不測の事態が発生すれば、改めて節電要請する可能性も」と話していたが、“不測の事態”が、早くも現実のものとなった。

 阪急電鉄は25日から、神戸線(梅田―三宮)での編成車両数の削減を自主的に決定しているが、近畿日本鉄道の関係者は「関電からの具体的要請があれば、節電ダイヤの導入準備はできているが、自主的に動くことはない」としており、JR西日本を含め、ほとんどの電鉄は関電の説明待ちの姿勢だ。

 利用者は、二転三転する事態にあきれ顔。買い物帰りだった京都府宇治市の女性会社員(37)は「通勤で電車に乗るので、ラッシュ時の間引きは困る。この夏は、『電力不足』に振り回されているような気がします」とやりきれなさそうに話していた。

地元「再稼働認めぬ」

 営業運転を間近にしたトラブルに、地元自治体の担当者らは憤りとともに態度を“硬化”させ、再稼働への道は険しくなりそうだ。

 16日に記者会見した福井県の幹部は「原因究明と安全対策を慎重に行うことが第一」とした。もともと大飯1号機は、最終検査を受けないまま約4カ月も調整運転を続けており、そのこと自体についても「調整運転は期限の制限が定められていない『グレーゾーン』で曖昧。制度に問題がある」と不満を見せた。

 福井県は原発の再稼働について、福島第1原発事故の知見を踏まえ、安全性を確証できる基準を示すよう国に求め、回答がない限りは認めないとしてきた。一方で運転中の原発については社会不安や経済への影響を考慮し、運転停止を求めてこなかった経緯がある。

 県の対応にも批判の及びかねない状態に、幹部は「県として調整運転状態を黙認してきたわけではない」と釈明、「結果的にトラブルを起こす事態になり、国の姿勢に問題があった」と国を批判した。

 大飯1号機は、今回の手動停止で他の停止中原発と同じ取り扱いになった。幹部は「国の回答がない限り、再稼働を認めない方針だ」と強調した。

 大飯原発が立地する同県おおい町の時岡忍町長も「機器の不具合で、原子炉を停止させるのは当然の措置だが、まことに遺憾。関電には、不具合の原因や影響を住民に対してきちんと説明するよう求めたい」と不満をあらわにした。

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