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特集社説2011年07月17日(日)

会見無断録音 疑惑の解明には消極的なのに

 松山市発注工事の「裏金」疑惑を証言した孫請け会社の社長が市役所で記者会見した際、同市職員が室内にIC(集積回路)レコーダーを隠し置いて、会見内容を無断で録音していた。
 会見は、報道機関が加盟する市政記者クラブの主催だった。会見前に市職員が同席を要望し、クラブ側が孫請け会社社長に意向を一応確認したが、拒否されたため職員は退室した。そして、会見終了後になってクラブ側が録音状態だったレコーダーを見つけたという。
 退席を求められながらレコーダーを残したのは、「盗聴」と言われても仕方ないだろう。社長と報道機関との信頼関係を損ねるばかりか、報道機関と松山市との関係をも台無しにしてしまいかねない行為である。
 二度と同じようなことを起こさないよう、職員への指導を徹底しなければならない。
 市側は無断録音を認め、山口最丈副市長が「関係者に率直におわびしたい」と陳謝した。組織的な関与については否定しているが、上司の指示などはなかったのか。さらなる調査を求めておきたい。
 愛媛新聞社が松山市の「裏金」疑惑を報じてすでに4カ月以上が経過する。市が、孫請け会社社長から直接聴取する機会は、いくらでもあったはずだ。本人も応じる意向を示していた。
 直接聴取は避けながら、裏では盗聴まがいの無断録音である。組織的ではないというものの、市側の行為は不可解というしかない。
 そもそも疑惑が浮上した当初から、市は真相解明に及び腰だった。
 疑惑の焦点は、公金支出が適正だったかどうかという点にある。それなのに、「人権侵害の恐れがある」「調査権が及ばない」などを理由にして、関係者の直接聴取に踏み切らない。
 いつまでもこのような姿勢では、市民の市政への不信、不満が募るだけである。疑惑を晴らすには、弁護士などで構成する第三者機関を設け、時間をかけてでも徹底的に調べることが肝要だ。
 特に問われてくるのは、野志克仁市長の姿勢である。真の「野志市政」を確立し、市政への信頼を取り戻すには、真相解明に向けた指導力を発揮すべきである。今からでも遅くはない。
 理事者同様に、議会の対応も心もとない。
 特別委員会を設置し、市民の期待は高まった。が、孫請け会社社長を参考人招致したものの、結局はその委員会を非公開にしてしまった。
 市民は肩すかしをくった格好である。百条委員会を設置するなど、議会には理事者とは別の視点で調査できることがあるはずだ。

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