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海江田経産相:全原発停止、頭の中にない 首相会見連絡は40~50分前--一問一答

 海江田万里経済産業相は毎日新聞のインタビューで、「原発をすべてストップするシナリオは頭の中にない」と述べた。主なやりとりは以下の通り。

 --菅直人首相が「脱原発依存」の会見をしました。

 ◆(首相から)会見の40~50分前に電話連絡を受けた。核兵器を持たずに原子力技術を本格開発してきたのは日本ぐらいなのに、その技術を捨て去っていいのか。数十年でなくなることになれば、人材も育たない。こうした点を首相に伝えたが、首相からは「そうした議論は今度やろう」と(かわされた)。自分の中では(脱原発の是非について)まだ決着はついていない。

 --「脱原発」をどう考えますか。

 ◆(化石燃料頼みになれば資源国などに)弱みにつけ込まれ、ガスなどの価格が上がる。(再生可能エネルギーなどの)新技術を何年で開発し、それまでどうつなぐかなど、緻密な議論が必要だ。原発は安全なら動かし、安全でなければ止める。すべてストップするシナリオは頭の中にない。現実問題として、2~3年で大きくは減らせない。

 --仮に首相が「脱原発解散」に踏み切れば、容認しますか。

 ◆できない。(解散のための閣議書に)署名はしない。国民だって悩んでいると思う。さまざまな角度から情報を提供し、判断をしてもらう時間が必要だ。

 --九州電力玄海原発の再稼働を巡る議論も混乱しました。

 ◆玄海では当面の津波対策や過酷事故対策もあり、(6月29日に地元を訪れ)自信を持って安全だと言った。首相には事前に報告していたが、帰ってすぐに電話があり、「自分は関わっていない」「原子力安全委員会と相談したのか」と言われた。法律がそういう(安全委の了解を得る)仕組みになっていないと説明すると、電話ががちゃんと切れた。翌日に官邸で報告し、(安全評価の議論が)始まった。

 --安全評価が再稼働の条件となりました。

 ◆もともと高経年化や過去のトラブルなどをチェックしなければ、という思いはあり、納得はしている。安全委もテストを考えていたようだが、再稼働に絡ませるということではなかったと思う。

 --経産相は時期が来たら(混乱の)責任を取ると発言しました。

 ◆政治家がこう言えばどういうことか、想像していただければ。自分は間違ったことはしていない。

 --首相は「今夏と今冬は原発無しで乗り切れる」との見通しを示しています。

 ◆いろんな工夫をすれば、今冬までは何とかなるが、東北と関東は電力使用制限令を発動する異常事態。関西、九州にも節電をお願いしないといけない。電力不足で企業の生産が滞ることは決して良いことではない。(浜岡原発の停止を要請した)中部は原子力の依存が低いが、関西、九州は違う。

 --関西でも電力使用制限令が必要では。

 ◆したくない。なんとか(節電を)お願いしようと思う。【聞き手・山本明彦、野原大輔】

毎日新聞 2011年7月17日 東京朝刊

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