福島県浅川町の肉牛農家から出荷された牛の肉から、国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された問題で、福島県は避難の対象区域にある農家を対象としていた肉牛の全頭検査の範囲を広げる方向で検討していることが新たに分かりました。
この問題は、福島県浅川町の肉牛農家が餌として肉牛に与えた稲わらから、最大で国の目安のおよそ73倍に当たる放射性セシウムが検出されたもので、この農家から肉牛42頭が出荷され、このうち山形県と東京の業者が購入して保管していた牛肉から、それぞれ国の暫定基準値を上回る1キロ当たり694ベクレルと650ベクレルの放射性セシウムが検出されました。福島県は、これまでに計画的避難区域と緊急時避難準備区域にある農家を対象に、出荷したすべての牛の肉に、放射性物質が入っていないかを調べる全頭検査を行う方針を示していますが、今回の問題を受けて、検査を行う範囲を広げる方向で検討を始めていることが新たに分かりました。具体的には、現在、県内すべての肉牛農家を対象に行っている餌の管理や飼育状況についての緊急の立ち入り調査で、管理が不十分だと判断した農家については、全頭検査を実施し、それ以外の農家も、一部の肉を抜き取ってサンプル検査を行うということです。しかし、農家や消費者からは、県内すべての肉牛を対象に検査して欲しいという要望も寄せられているということで、福島県はJAや畜産団体などと、さらに協議を進めることにしています。