不正輸出:北朝鮮に高級外車…韓国ルート初摘発 警視庁

2011年6月20日 21時55分 更新:6月21日 0時0分

北朝鮮への不正輸出事件の構図
北朝鮮への不正輸出事件の構図

 北朝鮮の工作機関からの発注を受け、高級外車を韓国経由で北朝鮮に不正輸出したとして、警視庁公安部は20日、在日朝鮮人で東京都文京区本駒込5、会社役員、安成基容疑者(71)を外国為替法違反(無承認輸出)容疑で逮捕したと発表した。公安部によると、韓国ルートの不正輸出(既遂)の摘発は全国初で、安容疑者を工作員とみて追及する。

 逮捕容疑は08年9~12月、経済産業相の承認を受けずに中古の高級外車3台(計720万円相当)を、神戸港から韓国の仁川や釜山経由で北朝鮮に輸出したとしている。

 安容疑者は「北朝鮮に輸出したのは間違いない」と容疑を認めている。北朝鮮への不正輸出事件は中国ルートが使われることが多いが、公安部は摘発を逃れるため韓国ルートを使ったとみている。車は北朝鮮の南浦(ナンポ)に送られたとみられている。

 公安部によると、朝鮮労働党直轄の経済関連の工作機関「朝鮮サンミョン」が安容疑者に発注し、名目上は韓国人が経営する貿易会社「合同ホールディングス」(東京都中央区)が輸出。安容疑者は役員ではなかったが、実質経営責任者だった。

 安容疑者は最近3年間で韓国や中国に計18回渡航。この際に訪朝した可能性があるほか、金正日(キム・ジョンイル)総書記が09年に視察した「羅先大興貿易会社」(北朝鮮・羅先)から「海外代表社長」に任命されていた。公安部は安容疑者は北朝鮮の工作員だったとみて、実態の解明を急ぐ。

 事件では、韓国当局が捜査に協力。今年4月、韓国に輸出された車3台が陸揚げされず別の船に積み替えられて北朝鮮に送られたとの回答があったという。公安部は今月、東京都や兵庫県など4都府県の関係先7カ所を家宅捜索し、朝鮮サンミョンとの連絡文書などを押収した。

 日本政府は、06年の北朝鮮の核実験を受け、車などの「ぜいたく品」24品目の輸出を禁止。09年の核実験後は、全面禁輸措置をとっている。

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