福島県南相馬市の畜産農家が出荷した黒毛和牛から暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で13日、この農家が出荷した6頭の流通先の全容が東京都などの調べで明らかになった。最終的に11都道府県の業者に計1438.7キロ販売され、うち8都道府県の業者が計437.65キロを店頭などで販売していた。都は食用として消費された可能性が高いとみている。
都によると、この農家は5~6月、東京と栃木に牛6頭を出荷。6月上旬以降、東京、神奈川、静岡、大阪、愛媛の業者を通じて、北海道、秋田、東京、神奈川、千葉、静岡、愛知、大阪、兵庫、徳島、高知の11都道府県の業者に販売されていた。全量を店頭で販売した業者や、一部を消費者に提供した業者も複数あった。
このほか、ホルモンやレバーなど内臓も飲食店などで販売されたとみられるが、内臓には生産や流通の履歴情報を確認するための個体識別番号が付いていないため、「追跡は事実上不可能で、既に消費された可能性が高い」(都福祉保健局)とみる。ただ、都の廉林秀規食品監視課長は「暫定規制値は1年間食べ続けた場合を考慮して設定されており、基準を超える牛肉を1回食べても心配する必要はない」と話している。【武内亮】
毎日新聞 2011年7月13日 21時22分(最終更新 7月13日 22時28分)