基礎解説 チェック式 WSH入門 第11回 2.スクリプトの実行制御Microsoft MVPWindows Server - Admin Frameworks 牟田口 大介 2007/07/26 |
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スクリプトの実行制御を行うメソッド:Sleep、Quitメソッド
次に、スクリプトの実行制御を行う重要なメソッド、SleepメソッドとQuitメソッドを取り上げる。
Sleepメソッドはスクリプトの処理を一時中断させるメソッドである。引数に中断する時間をミリ秒(ms)で指定する(1ミリ秒=1/1000秒。従って1000ミリ秒=1秒)。次のサンプルを実行してもらいたい。
※ファイル:wait.vbs |
このスクリプトを実行すると次のようになる。
10秒後 |
スクリプトの一時中断 |
このスクリプトでは、Sleepメソッドを用いて10秒間スクリプトを中断させている。 |
このように、1つ目のメッセージ・ボックスを閉じてから10秒後に2つ目のメッセージ・ボックスが表示される。Sleepメソッドで10000ミリ秒(10秒)で中断するようにしているためである。
なお、Sleepメソッドを使ってスクリプトを中断している間はCPUを占有することはなく、CPU使用率は低い状態になる。また、中断しているとき、ほかのオブジェクトでイベントが発生した場合、そちらに処理が移るので、イベントの発生を待つために空ループを回すときに使える。この例は後ほどオブジェクトを扱うメソッドのところで述べる。
さて、ここで1つ例題を出そう。先ほどのスクリプトでは10秒間何も表示されないので何が起こっているか分かりにくかったので、今度はStdOutプロパティとSleepメソッドを使ってプログレス・バーのようなものを表示させたタイマーとして動作するスクリプトを組んでみよう。
※ファイル:progressbar.vbs |
このスクリプトをcscript.exeで実行すると次のようになる。
実行直後。[Enter]キーの入力を待っている状態 |
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[Enter]キーを押すと、1秒ごとに■が増えていく |
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10秒経ち、■が10個表示されると終了メッセージが表示される |
このスクリプトでは先ほどのように変数にストリーム・オブジェクトを格納するのではなく、WScript.StdOutにドットを続けて直接Write/WriteLineメソッドを呼び出している。WScript.StdIn.ReadLine()とすることで、[Enter]キーの入力を待つことができるのもポイントである。あとは本題のSleepメソッドを使うことで処理を1秒ずつ待ってループを回しているだけである。
次に紹介するのはQuitメソッドである。これはその英単語が示すとおり、スクリプトを終了するメソッドである。通常はスクリプトの最後の行が実行されるとスクリプトは終了するが、このメソッドが呼び出されると、そこから後の行に書かれたコードは実行されずスクリプトはその場で終了する。次のスクリプトをご覧いただきたい。
※ファイル:quit.vbs |
このスクリプトでは、最初にMsgBox関数を使って「こんにちは」という文字列をメッセージ・ボックスで表示させた後、Quitメソッドを呼び出してスクリプトを終了している。よって、その後の行のMsgBox関数は呼び出されないので「さようなら」という文字列のメッセージ・ボックスは表示されない。
なお、QuitメソッドはSubプロシージャやFunctionプロシージャ内で実行した場合も呼び出し元に処理が戻るのではなく、スクリプトそのものが終了する。
Quitメソッドは数値の引数を取ることができ、それはエラー・コードとしてスクリプトの呼び出し元に返却される。省略時は0である(正常終了)。
この例ではQuitメソッドのメリットが分かりづらいので、より実践的な例を問題として示す。標準入出力を使いたいので、wscript.exeではなく必ずcscript.exeで実行させたいというケースがある。実行ホストがwscript.exeならスクリプトを終了させるには、次のようにする。
Option Explicit |
このスクリプトではまず、スクリプト・ホストのフルパスは前回述べたようにWScript.FullNameで取得できることを利用して、そのファイル名を取得する。そしてファイル名がwscript.exeなら、Quitメソッドを実行してスクリプトを終了している。だがcscript.exeの場合はそのまま処理が続行するというわけである。両方のスクリプト・ホストで実行してみて挙動を確認してもらいたい。
Quitメソッドは、For〜NextステートメントやIf〜Then〜Elseステートメントなどの深いネストの中にあるところからExitステートメントを使わず一気に脱出してスクリプトを終了させたいときにも便利である。
INDEX | ||
[基礎解説]チェック式 WSH入門 | ||
第11回 WScriptオブジェクトを利用する(2) | ||
1.標準入出力と標準エラー出力 | ||
2.スクリプトの実行制御 | ||
3.COMオブジェクトの操作(1) | ||
4.COMオブジェクトの操作(2) | ||
コラム:タイプ・ライブラリについて | ||
基礎解説 |
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