原発:関電、大飯1号機手動停止へ…炉心冷却装置トラブル

2011年7月16日 10時59分 更新:7月16日 13時56分

関西電力大飯原発1号機(右)=福井県おおい町で2010年11月16日、本社機から竹内紀臣撮影
関西電力大飯原発1号機(右)=福井県おおい町で2010年11月16日、本社機から竹内紀臣撮影

 関西電力は16日、調整運転中の大飯原発1号機(福井県おおい町、加圧水型、出力117.5万キロワット)で、緊急炉心冷却装置(ECCS)系統にトラブルがあり、同日夜に原子炉を手動停止して原因を調査すると、福井県に伝えた。再稼働の見通しは立っておらず、8月の最大電力(需要)に対する不足分が大幅に拡大し、関電が要請している節電などにも影響を及ぼす可能性がある。

 関電は、1号機を営業運転に移行するため準備していた最終検査の申請作業をストップする。

 県や関電の発表によると、15日午後10時46分ごろ、4系統あるECCSのうち1系統で、非常時に原子炉内に1次冷却水を注入する水圧を調節するための「蓄圧タンク」の圧力が約2割低下し、警報が鳴った。タンク内に窒素を補給して約1時間後には基準値に戻したが原因が分からず、原子炉を停止して詳しく調べる。

 関電は東日本大震災発生前日の3月10日に1号機の原子炉を稼働。地元の意向に配慮するとして、試運転にあたる調整運転のまま4カ月以上フル出力で発送電してきた。関電が近く計画していた営業運転について、県や同町が容認する意向を示していた直後の運転停止となった。

 関電が同県内で運転する原発11基のうち、既に4基が定期検査のため停止している。来週には更に2基が、定期検査のため運転停止する。【安藤大介、横山三加子】

 ◇関電管内の電力不足、大幅に拡大

 関電にとって大飯1号機の停止は痛手。「需給バランスが厳しくなるのは事実」と、事態の深刻さを認めている。

 関電の7月の供給力は3166万キロワットだったが、大飯1号機の停止で3048万キロワットに低下することになる。今月21、22日には高浜原発4号機と大飯原発4号機が定期検査入りするため、供給力は2983万キロワットにまで下がる。

 中国電力から融通を受けている35万キロワットについても、8月のめどは立っておらず、結局、8月の供給力は2931万キロワットに。関電が想定する7、8月の電力需要は3138万キロワットで、8月の供給不足は、これまでの想定の2.8%から6.6%に拡大する。

 関電は7月1日から家庭や企業に15%程度の節電を要請し、その効果から「(夏場を)なんとか乗り切れる」(森詳介会長)と判断。鉄道各社への間引き運転を含めた追加的な節電要請を見送ったが、大飯1号機の運転停止が続けば、一層の節電徹底を求めざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。【横山三加子】

 ◇細野原発事故相「供給厳しい」

 福島県を訪問している細野豪志原発事故担当相は16日午前、大飯原発1号機がトラブルにより停止されることについて「関西の電力の需給環境はもともと極めて厳しかった。予備の供給力があるか精査しなければならないが、非常に厳しくなったことは間違いない」と述べた。

 15日に保安院が手法を公表した安全評価については「停止中の原発を1次評価、運転中を2次評価の対象と位置付けているが、(調整運転中に停止される)大飯原発1号機をどう位置付けるかは微妙。検討が必要だ」と指摘した。【関東晋慈】

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