関西電力は16日、大飯原発1号機(福井県おおい町、出力117.5万キロワット)で、緊急炉心冷却装置(ECCS)系統の「蓄圧タンク」の圧力が一時低下するトラブルがあり、同日夜に原子炉を手動停止して原因を調査すると発表した。運転停止が長引けば、8月の最大電力(需要)に対する不足分は大幅に拡大し、関電が要請している節電などにも影響を及ぼす可能性がある。
大飯原発1号機は定期検査を終えて東日本大震災直前の3月10日に再稼働し、営業運転前の調整運転を約4カ月にわたって続けている。
蓄圧タンクは、緊急時に炉心に冷却水を注入するための装置。関電によると、15日深夜に通常は一定の圧力が低下し、警報装置が作動。その後窒素を加えて圧力は回復したが、詳しい原因調査のために原発の手動停止を決めた。
関西電力は大飯1号機を今夏の供給力に計上していた。8月の最大電力(需要)3138万キロワットに対する不足分は、これまで想定していた89万キロワット(2.8%)から206万5000キロワット(6.6%)に拡大する。15%程度の節電を企業や家庭に要請中の関電は、7月前半の節電実績などから「何とか(夏場を)乗り切れるのではないか」(森詳介会長)としていたが、鉄道の間引き運転要請など節電を一層求めざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。
経済産業省原子力安全・保安院によると、同原発周囲のモニタリングポストの値に変化はみられず、環境への影響はないとみられる。現地の原子力保安検査官が立ち入り検査をして、状況を確認している。【平野光芳、横山三加子、足立旬子】
毎日新聞 2011年7月16日 10時59分(最終更新 7月16日 11時32分)