(cache) 胃がんのスーパー外科医 - これまでの放送:ディープピープル[DEEP PEOPLE]

放送内容

胃がんのスーパー外科医
<総合テレビ>5月2日(月)

今、日本人のおよそ3人に1人が「がん」で死亡している。中でも「胃がん」は病気にかかる人の割合が最も高く、日本人の国民病とも言える病気だ。今回は、「胃がん」を手術で取り除く手腕において世界最高レベルのスーパー外科医3人が一同に集結。お腹を切り開く従来からの手術法「開腹手術」、そして「腹くう鏡手術」と呼ばれる、腹部に小さな穴を開けて特殊な医療器具を用いる新しい手術法。患者にとってどちらがより良いのかを巡り熱い議論が展開される。さらに、外科医3人の手術前の独特の習慣やこだわりの道具についても語り合う。

佐野 武×宇山一朗×小嶋一幸

佐野 武佐野 武
がん研有明病院勤務。開腹手術の達人。日本胃がん学会理事として「胃がん治療ガイドライン」を作成。
宇山一朗宇山一朗
藤田保健衛生大学病院に勤務。腹くう鏡手術の先駆者。王貞治氏の胃全摘手術も執刀。胃がん界の革命児。
小嶋一幸小嶋一幸
東京医科歯科大学医学部附属病院勤務。独自の腹くう鏡手術を確立し手術時間の大幅な短縮に成功。
「僕は抵抗勢力の一番うるさいヤツと思われてて…」佐野 武
佐野 武 トークバトルは、和やかな雰囲気で開幕。「手術前の独特の習慣」というテーマで、リラックスするために音楽を仕込む佐野、ロッカーの暗証番号でゲンかつぎする宇山、小嶋はひたすら手術機材のチェックと、三者三様の個性がにじみ出た。ところが、「患者にとって優れているのは、開腹手術か腹くう鏡手術か」という本題に突入すると、3人の間に緊張感が走った。伝統ある開腹手術の後継者である佐野と、腹くう鏡という新しい手術法の先駆者である宇山・小嶋の間には、手術の価値観において明確な境界線が引かれる。まず佐野が「僕は抵抗勢力だ」と口火を切り、議論は熱を帯びていった。
「お言葉を返すようですが、結局は、センスや経験ですよね」宇山一朗
宇山一朗 胃がんの進行度や転移の有無は、手術前の診断で完璧には確定できない。その点、術者自らの視覚と触覚を生かせる開腹手術では、手術中に想定外の症状が判明しても柔軟に対応できると、佐野が主張した。それに対して宇山が「結局はセンスや経験の問題だ」と発言。さらに、腹くう鏡手術では、内視鏡を腹部内に挿入して臓器や血管の拡大映像を見るため、より緻密な作業ができると主張した。一方、両利きを生かした独自の手術法で手術時間の短縮に成功した小嶋は、右利きの外科医は左手を駆使できるよう、日常のトレーニングが欠かせないと指摘した。
「胃がんの手術は奥が深く、毎年新しい発見があります」小嶋一幸
小嶋一幸 白熱トークは、王貞治さんの「腹くう鏡による胃全摘手術」の話題に。執刀医を務めた宇山は、切除した胃を体外に取り出す方法を明かし、小嶋は腹くう鏡手術の知名度が上がったと朗らかに語った。ここで佐野が、十分なトレーニングを積んでいない医師は腹くう鏡手術に手を出してはならないと、警鐘を鳴らした。これには、宇山・小嶋も同意。患者の命を危険にさらしてはならない、その思いは熱く共鳴した。終盤、佐野が「外科医は辞められない」と微笑んだ。宇山が「患者の利益を追求する意味で手術が好きだ」と続き、小嶋も「胃がんの手術は奥が深い」としみじみ語った。3人の外科医としてのキャリアは今後さらに輝きを増すに違いない、そんな印象を残してトークバトルは幕を閉じた。
これまでの放送一覧へ