福島県浅川町の農家が肉牛に与えていた餌の稲わらから、国の目安を大幅に超える放射性セシウムが検出された問題で、15日朝、この農家が取材に応じ「稲わらの購入先は原発から離れていて汚染されているとは夢にも思わなかった。肉を食べてしまった方には申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と話しました。
この問題は、福島県浅川町の肉牛農家が餌として肉牛に与えていた稲わらから、最大で国の目安のおよそ73倍に当たる放射性セシウムが検出されたもので、この肉牛農家の男性が15日朝、取材に応じました。それによりますと、男性は、福島県南相馬市の牛から放射性セシウムが検出された報道を見て不安になり、友人から計測機器を借りて稲わらを自分で調べたところ放射線の反応があったため、福島県にみずから申し出たということです。そのうえで、男性は「稲わらを仕入れた白河市は原発から距離が離れているので、汚染されているとは夢にも思わなかった。祈るような気持ちで調査の結果を待っていたが、汚染されていることが分かり、今は本当に悔しくて夜も眠れず、仕事が手につかない状態だ。出荷した肉を食べてしまった方には申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と話しました。また、男性は、購入した稲わらを牛舎に保管していたということで「原発事故のあと、牛に与える餌の保管について国や自治体からの指導があったとは記憶にない。そういった指導をするなら、稲わらの集荷や運搬など関わっている人すべてに周知徹底してほしかった。安心して使える餌が欲しいという思いはどの農家も同じだ。原発事故がなければこんな目には遭わず、われわれも被害者の1人だ」と話していました。福島県は、稲わらの流通経路や保管の状況について詳しく調べるとともに、およそ4000戸ある県内すべての肉牛農家に対し、牛の出荷や移動を自粛するよう要請しています。