宮崎正弘の国際ニュース・早読み
発行日:5/22
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年)5月23日(土曜日)
通巻第2604号 (5月22日発行)
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国民が待望した歴史教科書、ついに刊行!
『日本人の歴史教科書』(自由社)
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自由社版の『新編 新しい歴史教科書』を全文完全収録しての市販本です。
特別寄稿は三笠宮寛仁親王殿下が寄せられ、つづけて「日本を読み解く15の視座」として櫻井よしこ、加地伸行、加瀬英明、村松英子、石平、田久保忠衛、宮崎正弘、高山正之、黄文雄、宮脇淳子、川口マーン惠美、西尾幹二、堤堯、井尻千男、中西輝政の十五人が書き下ろしの新稿で総合的に真実の歴史を立体化している。
カラー写真が豊富に用いられているのも爽快である。
▲「搾取」とか「原始共産制」とか左翼イデオロギーの配列と無縁
二日がかりで『新しい教科書』を読んで「嗚呼、ようやく日本人の手になる本物に近い歴史の叙述がある」と率直に感動した。
神話も仏像も、神社仏閣とともに、水墨画や日本の仏教美術の粋が、カラーでふんだんに配されているのも特色だが、敗戦後の日本の精神を萎縮させてきた、自虐的姿勢が払拭されている。
これを読めば、日本の若者はなんとか祖国への自信が持てる。採択する学校が増えることを祈りたい。
以下、通読していくつか気になったことを書く。
第一は日本の矜恃の回復に努めていること。
冒頭に「旧石器時代」が日本にあったことを特筆している。原始社会は原始共産主義制度だったとして、左翼歴史学が否定してきたものだ。高松塚とキトラ古墳、出雲大社が大書されて、各チャプターの扉には弥勒菩薩、月光菩薩、阿修羅像など世界に誇るべき日本の美が紹介される。反戦的な、風刺的な、歴史を斜に構えてみる意図がない。左翼教科書への正面からの反撃である。
第二に日本の歴史の古さと素晴らしさを、図解を多用して説明風よりもヴィジュアルな効果を上げていること。
縄文式遺構や古代の住居の再現、吉野の里遺跡の詳述がある。
魏志倭人伝も取り上げるが「不正確な内容も多く」と注釈があり、金印が朝貢の証拠とする従来の主張から「日本は、こうした中国の皇帝を中心とする東アジアのきびしい国際関係の中に組み込まれていた」と「考えられる」と保留条件をつけている。「神武東征」に関してコラムで一ページが割かれる。
「搾取」だとか「上からの徴税」だとか、へんな表現は一切ない。
▲日本が中国文明から抜けでて独自の文化圏を築いた過程を浮き彫りに
第三に古代から中世にかけ、徐々に日本が中国の影響圏を抜け出し、独自の文明と文化を築き上げていく過程が要領よく説明される。
和同開珎は「中国についで二番目の貨幣」。「大宝律令は」は中国の法的体系が基礎にあっても、「令」は日本独自のものだった、という説明や、長安をまねた奈良も平安京も中国のような「城壁」がないという日本独自の構造。聖徳太子以来の平和をのぞむ国民性がそれとなく示される。東大寺の大仏開眼、シルクロードと仏教文化など世界的展望の同時性も重視されている。
西安の兵馬!)を見て圧倒される西欧人が多いが、ならば三十三間堂の千体仏は?
第四に武士の興隆、鎌倉幕府の意義がまじめに説かれる。建武の中興が「建武の新政」と表現されるのは文部科学省とのぎりぎりの妥協だろう。しかし南北朝の解釈も客観的である。
「勘合貿易が停止すると倭寇がふたたび盛んになったが、その構成員は、殆どが中国人だった」という重要な記述も、従来の倭寇=悪=日本人説を覆す。
第五に戦国乱世から国家統一のプロセスを「世界を二分割するスペインとポルトガルの野望」を前段にみて、応仁の乱からキリスト教の伝来、信長と順を追うので、これまでの歴史解釈のように信長がキリシタンの布教を認めたのが正義という印象は希釈されている。
ただし秀吉の朝鮮出兵については明の野望に対する予防戦争という側面が記述されていないのは不満が残った。
第六に近代から現代という、もっとも論争が繰り返される箇所だが、明治維新から近代国家への衣替えも、左翼史家が得意だったブルジョワ革命、フランス革命との比較がなく、淡々と事実をのべ、幕府派と薩長のパワーバランスと改革への熱情を述べる。
歴史を予見にみちた「解釈」ではなく、イデオロギー的ないし宗教的予断を極力排斥して、人間の流れの中に捉え直しているのだ。
▲大東亜戦争と正面から近代史を捉えている。
大東亜戦争の記述にも注目したが「大東亜戦争(太平洋戦争)」、また「日中戦争(シナ事変)」と、このあたりの名称の付け方はまだまだ文部省との闘いの跡が鮮烈に見て取れる。とはいえ他の左翼教科書は米国の司令した「太平洋戦争」史観で塗りつぶされている。
本書は「大東亜会議」にきちんと言及し、また「日本を解放軍として迎えたインドネシアの人々」という、これまでの左翼教科書には出てこない事実が書かれている。
東京裁判史観も、「平和に対する罪」など事後法による非合理性、国際法違反という側面に触れ、パル判事が無罪を主張した経過、戦後GHQの思想改造など、説明がなされている。
南京大虐殺の嘘に関しては記述がないが、満州成立過程も前段にヒトラーとスターリンという二つの全体主義、中国の作為的な排日運動、満州事変から廬講橋事件へと至る因果関係の説明に重きが置かれており、局所的に切り取って関東軍の横暴だとかの誤った記述がない。
満州事変の詳述は、やや平坦で日本軍の評価に冷淡なきらいも残るが、大きな流れのなかで当時の日本の安全保障がかかっていたことが了解できる。
第七に巻末付録だが、台湾にダムをつくって貢献した八田與一、トルコ船の難破を助けたエルトゥールル号事件へのトルコ国民の感謝など、従来一切の記述がない歴史的功績が顕らかに掲載されている。
総じて前向き、日本の歴史の良さを積極的に評価して、世界貢献に尽くそうとする日本人の使命感を湧かせる。一部の記述には依然として文科省との妥協の足跡も見られるが、いま一番大事なことは、この立派な教科書を、全国でどれだけの教育委員会に採択させるかという主要敵=日教組との闘いである。
この市販本は全国の書店で来週から販売され、すでに数万部の予約があるという。ひとり数冊買ってまわりに贈ろうという運動も始まっている。
http://www.bk1.jp/product/03123440
(↑ アマゾンでも予約購入が可能です)
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(読者の声1)貴誌 平成21年(2009年)5月22日(金曜日) 通巻第2602号 (5月21日発行)「(読者の声3)インフルエンザウィルスが高温多湿の典型である人間の体内で何故猛威を振るうことが可能なのかわかりません.明らかに話の辻褄が合わないのです。Webで探しましたが見つかりません.どなたか解説をしていただけないでしょうか(MW,大阪)」
とあります。
詳しい方の呼び水になれば幸いですが、要は喉という人体の貿易港に入り込むウイルスを水際で上陸阻止するためには、喉での検疫が重要。その機能が衰えると、ウイルスがアジトを喉で開設(政治業界用語では「細胞」と呼ばれているらしいが、要はウイルス増殖環境のこと)して、ぬくぬくと増殖し、国内に散らばります。そうなると、ウイルス対策は大変です。
ウイルスはもともと体細胞内での増殖が大得意。それを阻止しているのが免疫系です。
免疫系という体内の防衛体制が整備されているとはいえ、全身でウイルスと人体内免疫系との戦闘が繰り広げられると、全国的戒厳令となり、人体は安静が大事になってしまいます。水際阻止がウイルスには重要。
免疫系とはいえ、暴力装置であることには代わりがないため、それの機能がおかしくなると、効きすぎのアレルギーになります。
今回の豚ウイルス、世界的金融危機の直後であることに注目すべきではないかと思います。歴史的にはこういう時期に出現するのはテロ、戦争、という金融ご破算症候群。
なぜ、9.11はアルカイーダのテロであれば、今回のメキシコブタウイルスがアルカイーダの細菌テロではとのテロ対策が打たれないのか、基本的に疑問です。
因みにこの観点でのコメントは以下HPによれば、インドネシアのHeath大臣Siti Fadilah Supariにより提起されています。
https://abs-cbnnews.com/world/04/28/09/indonesian-minister-says-swine-flu-could-be-man-made
ユーロに対抗する北米通貨アメロの導入、メキシコでの発生。オバマ大統領のメキシコ訪問の時期など、アルカイーダの暗躍を推測させるデータがあると思っていたところ日本の喉たる東京での検疫システムから漏れたウイルスが国連帰りの日本子女によるものであるとのこと。
アルカイーダのターゲットとしては、アメロ導入阻止、オバマ大統領暗殺、国連機能マヒなど、ますますアルカイーダの暗躍を心配する情報が増えてきていると感じています。
真珠湾、9.11.細菌兵器など、歴史に学ぶべき点が多いように思いまが、諸兄の神風特攻隊的蛮勇を期待します。
彼等の志と死は日本で安穏とくらす我々にとっては日々の嘗胆たるべきでしょう。
(アシカビヒコ)
(宮崎正弘のコメント)イスラム圏では豚を食しませんが、エジプトのコプト教徒は養豚業者が多い。養豚所をつぶされ、暴動に発展しました。
http://www.asahi.com/international/update/0509/TKY200905090229.html
コプト教徒はキリスト教東方教会派ですから豚を食します。
エジプトの少数派ですが、ガリ元国連事務総長もコプト教徒でした。
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(読者の声2)貴誌通巻第2603号(読者の声7)にTT氏が書かれたウイルスに関する記述には不正確なところがあります。
ウイルスは複雑な構造を持った巨大なたんぱく質分子あるいは分子もどきとでもいうものであって、自身が生命活動をおこなうことはありません。他の細胞に寄生して自身を複製します。
またウイルスが自身で栄養素を摂取ないし捕食することはありません。
インフルエンザウイルスが、高温多湿の状態で長い間存在し得ないのは、高温多湿の状態のほうがウイルスに対する化学反応が起こりやすいからです。空気中に存在する酸素特に活性酸素と呼ばれるもの等が、インフルエンザウイルスと化学反応を起こすことも高温多湿の環境のほうがおきやすくなります。
その結果、インフルエンザウイルスが破壊されるのです。
ウイルスは自身生命活動を行わないので栄養素の摂取は不要です。したがって、餓死することはありません。
また或る種のウイルスは、結晶を作ることさえ可能です。
人体等宿主の中では、
(1)紫外線、活性酸素等ウイルスに対して化学反応を起こさせ、破壊するものが宿主の生命活動の中でのぞかれている。
(2)宿主の中で自身が破壊される前に複製される
ことにより、存在し続けることができます。
「ついでに言うと、多湿でも車内のような場所ではホコリやチリ、人の唾やフケ、汗、髪の毛の脂…等々が栄養となってインフルエンザ・ウィルスは餓死しにくいようです」ということではなく、乗車している人の体内で複製されたものが、呼気の中に排出され、それが、他の人の吸気の中に入って、その人の体内で複製されるといように連鎖反応で何代にもわたって存在し続けるのであって、同一のウイルスの個体が餓死せず行き続けるのではありません。
高温多湿の状態を作るには、寝室や居間や仕事場のように長時間いる場所を暖房して、加湿器を設置することが重要でしょう。マスクは、ウイルスを破壊するためには効果がありません。
マスクから肺胞に呼気いたるまでの一秒以下の間に破壊することは困難です。
私が、マスクによって鼻腔を湿らせることの効果に言及したのはまったく別の目的のためです。鼻腔内の粘膜は殺菌作用のある物質を分泌しますが、この分泌は、粘膜が十分湿っていることが必要です。
[「みなさまのNHK」によると、マスクは使い捨てにしなければならないそうですからね。現実問題として、それに十分な数のマスクを用意できるとは思えません。 実際、売り切れになっています]
とありましたが、この目的のためには布製の繰り返し洗って使えるマスクで十分です。
(ST生、神奈川)
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読者の声DOKUSHANOKOE 読者の声DOKUSHANOKOE
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(読者の声3)貴誌2593号(読者の声4)でIT氏が「ヒットラーが三種の神器を欲しがっていた。なんとか取り上げる方法がないか考えていた。」とあったのを読んで、日本書紀の天智天皇7年に、「この年、沙門道行が、草薙の剣を盗んで、新羅に逃げた。しかし途中で風雨にあって、道に迷いまた戻った」(宇治谷孟氏訳)とあったのを思い出しました。
沙門道行は新羅人の王族で当時日本に渡って来て住み着いていたことを他の本で読んだことがあります。
しかしその後、沙門道行が厳しく罰せられた形跡がありません。また、そもそも沙門道行が借り出せたのも不思議です。
少なくとも天智天皇の時代には、草薙の剣が皇統を継ぐために必須のものであるほど尊いものとはみなされていなかった傍証となるのではないのでしょうか。
また、このようなことが許されてしまうには、日本と新羅の間の関係に何か特殊なものがあったと考えられます。
(ST生、神奈川)
♪
(読者の声4)前号の貴見「『魏志倭人伝』に書かれた差別、あるいは当時の皇帝は日本のことを奴隷の国王とする金印を送ってきた。「倭」とはこびとの軽蔑語です。倭寇も」。
(引用おわり)
以前に香港人を福岡の博物館に案内したら、彼は金印を見たとたんに「プッ」と噴きだしました。
以前に香港人から、日本人を「倭」と蔑称することを聞いていましたので、彼が笑った意味はすぐ分かりました。
金印など有難がるものではありません。適当に扱っておけばよいのです。
(豊後住人)
(宮崎正弘のコメント)あれは偽物で、誰が作ったのかも特定されている。福岡藩の儒学者でしょ。日本でつくって、あたかも『魏志倭人伝』の中味が本当であるかのごとくに金印が「発見された」とする大がかりな歴史改竄です。
戦後も多くの古代史偽書が作られた。あの『武功夜話』も真っ赤な偽物だった。伊勢湾台風で先祖代々からの蔵から発見されたという売りでした。遠藤周作はあれを信じて一冊、小説を書いたくらいでした。
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(読者の声5)テレビは多くの人を洗脳する。NHK「JAPANデビュー」第一回 「アジアの一等国」は中国のNHKデビューかもしれない。
4月番組編成から NHK 毎日 朝日 関西 読売などのテレビから北朝鮮ニュースが消えた。
昨年の中国赤赤赤長野占領。いよいよ親分が乗り込んできたのか。
NHK画面の色合いも日本のカラーで無くなった様に思う。主演者の服装 髪型 言葉使い。特に子供番組の劣化。
どうしてもNHKは日本をマスク列島にしたい。台湾からマスク100万枚見舞い”あやしい” 日本のチベット化?
(take)
(宮崎正弘のコメント)穿ちすぎと嗤ってもいられない事態ですか。
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樋泉克夫のコラム
愛国教育基地探訪(その4)
――誰もが先を競って「走出去」
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太陽が見えないほどに早朝から空気が汚い唐山だが、朝の街を散策。
すると、街頭でビラ配りの女性を見かける。マンションの販売広告かと受け取ってみると、A4版大のビラの片面上部に、大きく「加拿大(カナダ)移民」。次いで「カナダ移民局前局長、有名移民問題専門弁護士、カナダ最大の銀行投資顧問、14年の経験を持つ移民問題専門家が懇切対応」と。
さらに「お宅に参上。唐山にて移民関連手続き全て完了。
出国後のトラブル一切無用。貴重な時間を節約。オーストラリア移民も受付中」。裏面はオーストラリア留学についての代行事務広告。「シドニー大学、メルボルン大学などのオーストラリア一流名門大学成功率100%」の文字が躍る。
「前アデレイド州学生ビザ処理センター幹部職員、有名留学事務専門弁護士、留学事務経験14年専門家」が担当。「ご自宅参上。留学不成功なら経費全額返済」。「AMJ澳美加国際咨詢集団」なる企業の宣伝ビラだった。
いったい、この種の移民・留学関連企業が唐山に何社ほど存在しているのかは不明だが、街のそこここで「移民」「留学」と書かれたカンバンを見かけたところからして、少なくはないらしい。需給関係が経済の原則だから、それだけ需要があるに違いない。
2002年だっただろうか。
当時、権力の絶頂期に在った江沢民は国民に向かって全球化(グローバル)時代だ。外の世界に向かって「走出去(とびだせ)」と大号令をかけた。
だが庶民の立場からいえば、そんなことは先刻承知。78年12月に共産党政権が改革・開放に踏み切るや、大金と命を懸けて海外に飛び出していった。もっとも、その大部分は非合法だったが・・・。
かくて江沢民の大号令は卓見でも大英断でも超野心的な政策でもなんでもなく、78年以来横行している非合法行為を追認、いや政府公認としたに過ぎないということになる。だが、政府公認が大問題。政府公認だからこそ、大手を振って「走出去」。
歴史的にいうなら、漢民族は民族発祥の地と確信している「中原」の2文字で表される黄河中流域の黄土高原から、外に向かい新しい生活空間を求めて移動⇒定着⇒再移動⇒再定着を長い年月を掛けて何度となく繰り返してきた。
18世紀末になると中国本土には「空き地」がなくなってしまったことから、東南アジアや北米に「走出去」。かくて華僑誕生だ。
確かに毛沢東の政治は問題だらけ。だが、49年の建国からの約30年間、彼らを中国大陸に封じ込めておいたという1点だけは掛け値なしで大いに評価すべきだと、声を大にしていいたい。
一方、!)小平は民族のDNAを知悉していた。
改革・開放政策とは、じつは彼らを本来の姿に戻しただけなのだ。その結果、いまや世界各地に溢れ出た中国人は、数にモノをいわせて自分たちの生活スタイルを押し通そうとする。
異文化理解などクソ食らえ。郷に入らば郷に従えではない。郷を従わせろ、である。身勝手が過ぎる。彼らによる傍若無人な振る舞いに辟易としている世界中の人々は、彼らを国境の外に出そうとはしなかった毛沢東の世界史的で地球規模の“大英断”に、いまこそ感謝すべきだ。ゼッタイに。
夜、ホテル内の足療(足マッサージ)に行く。
丁寧に足療を施してくれる娘さんに「いま、一番の希望は」。「この国を出て、シンガポールかマレーシアに移り住みたい」。翌日、唐山から秦皇島への道すがら、「看護師になって世界に飛び出せ」の巨大なカンバンを目にする。
かくて「走出去」は止むことなく、次々と世界に飛び出してゆく。
(この項、続く)
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宮崎正弘の新刊
http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
宮崎正弘・石平 共著
『絶望の大国、中国の真実――日本人は中国人のことを何も分かっていない』
(定価980円。ワック文庫)
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宮崎正弘の近刊 絶賛発売中!
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
◎小誌の購読(無料)登録は下記サイトから。(過去のバックナンバー閲覧も可能です)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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宮崎先生も高く評価されていた自由社の『日本人の歴史教科書』をさっそく購入して一読しました。文字通り、絶賛に値する日本人のための歴史教科書だと思いました。
図版や写真が豊富でいずれも色彩が美しい。
各章の冒頭にその時代の日本女性の服装の写真がいくつもあります。とても楽しい。
高名な識者による日本をテーマにしたエッセイと寛仁親王殿下による特別寄稿が加えられていて、いずれも素晴らしいです。
教科書本文の記述も偏りがなく、読んでいてイヤな気持ちにさせられることがまったくありません。中学生に読ませる教科書として理想的です。
日本の文化と伝統の素晴らしさを図版や写真と文章とで実感できます。
ひとりでも多くの日本人に読んでいただきたい、誇るべき教科書ができましたね。
100万部突破のベストセラーになってほしいです。(陽山)2009/5/27
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マスク大国には笑わせていただきました、只の風邪を大げさな報道実に嘆かわしいです。うがいと手洗い原始的な事を平生からやって居れば良いのですが、外出するとマスクだらけ美人だいなし、マスクほど美的感覚を喪失させるものは有りませんね。
眼が綺麗だと多少は夢も与えてくれるのですが日本人の一重美人のマスクは悲しいですねWwwww。2009/5/23
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発行者プロフィール
宮崎正弘
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/
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