国際米原発 災害対策強化を 調査チーム勧告、賛否両論の声2011.7.15 01:09

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米原発 災害対策強化を 調査チーム勧告、賛否両論の声

2011.7.15 01:09

 【ワシントン=柿内公輔】福島第1原発事故を受け、米原発を再点検していた米原子力規制委員会(NRC)の特別調査チームが13日、最終報告書を発表した。想定を超える自然災害にも対処するため規制強化を促しており、専門家や業界からは賛否両論の声が上がっている。

 報告書は「福島のようなことが米国でも起きるとは考えにくい」とし、直ちに対策が必要な大きな問題は米原発に見当たらず、「引き続き運転しても国民の健康や安全に差し迫った危険を及ぼさない」とした。

 だが、「福島の事故は原発の設計基準をはるかに超える深刻な自然災害によりもたらされた」とし、災害への対策を改善する必要が米原発にもあると指摘。「何十年にわたる小出しでパッチワーク(つぎはぎ)の規制手法を改め、米原発の安全性を高める包括的な規制に置き換えられるべきだ」と訴えた。

 そのために、(1)電源喪失時も最低8時間は炉心を冷やせる電池の設置(2)使用済み燃料プールの冷却機能の改善(3)福島第1原発と同じ原子炉を使う原発は信頼できる排気装置を設置-などの対策を求めている。

 報告書を受け、NRCは新たな規制のあり方を検討。勧告が導入されれば、世界で最多の104基ある米原発はより厳しい規制下での運転が迫られる。

 勧告について、ある原子力アナリストは「火災など最近相次ぐ米原発の事故を考えると、もっと踏み込んでも良かったと思うが、大災害の防止や国民の不安解消にある程度資するのではないか」と評価する。

 一方、米紙ウォールストリート・ジャーナルは、「電源喪失に関連した新たな規制は、原発業界にとってコストが高くつく可能性がある」との専門家の見方を紹介。業界寄りのインホフ上院議員も米メディアに、「勧告はあまりに徹底かつ時期尚早で、日米の規制の違いも考慮していない」と疑問を示している。

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