炉心溶融のメルトダウンへ向けて、カウントダウンを続けているかのような福島原子力発電所---。
その根源的問題が、国と電力会社が一体となって「安全神話」を撒き散らし、国民の声を聞かずに原子力政策を推進、事故が発生してもまず隠ぺい、真摯な事故対応を怠ってきたからだと指摘していた人がいる。
佐藤栄佐久前福島県知事である。
佐藤氏は、06年10月、木戸ダム建設工事に絡んで、ゼネコンの前田建設工業、サブコンの水谷建設から賄賂を受け取ったという収賄罪で逮捕起訴され、一審で有罪判決を受け、控訴したものの覆らなかった。
「冤罪」の声もある事件については後述しよう。ここで強調したいのは、佐藤氏が、09年6月の高裁判決後に上梓した『知事抹殺』(平凡社)で、2章を割いて「国の原子力行政との戦い」を訴えていることだ。
内部告発の調査を電力会社に「丸投げ」
佐藤氏は、まるで今日の事態を想定していたかのようである。
「この事故で、強烈な教訓として残ったのは、『国策である原子力発電の第一当事者である国は、安全対策に何の主導権もとらない』という『完全無責任体制』だった」
この事故というのは、1989年1月6日に発覚した福島第二原発3号機の部品脱落トラブルである。原子炉冷却水再循環ポンプ内にボルトや座金が脱落、それが原子炉内に流入していた。前年暮れから3回も警報が鳴っていたのに東電は事故を隠し続け、1月6日の異常警報でようやく県に報告した。
佐藤氏は、参院2期を経て、知事に就任2年目のこの事故で、原発が抱える根源的問題を直観、原発や原子力行政を学び、その在り方に批判的になっていく。
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