英領ジャージー島で開かれていた国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会は14日、反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)による妨害活動で、南極海での日本の調査捕鯨が中断に追い込まれたことを受け、こうした妨害行為を抑止するための取り組みを各国が進める、などとする決議案を採択し、閉幕した。
この決議案は日本が提案したもので、捕鯨問題に関する考えの違いを暴力的行動で解決することに反対し、各国が国際法などに基づく防止措置を講じることが柱。鹿野道彦農林水産相は15日の閣議後会見で、「全会一致で採択されたことは評価できる」と述べた。SSの暴力的な妨害行為に対しては、反捕鯨国からも非難表明があった。
一方、日本が求める商業捕鯨再開についての議論は進まなかった。捕鯨国と反捕鯨国との対立で機能不全に陥っているIWCの正常化に向けた議論にも大きな進展はなく、動きが乏しい総会となった。ブラジルなどが南大西洋に商業捕鯨の禁止海域を設ける提案をしたが、採決の方法を巡って議論が長時間中断。日本など捕鯨国が退場して採決されず、継続審議となった。