2010.12.01UPDATE
著名ブロガー「切込隊長」としても知られる実業家/投資家の山本一郎氏に次世代通信規格「LTE(Long Term Evolution)」について話をうかがう第2回。今回はその課題と解決策について(クロッシィジャーナル編集部)。
LTEは非常に重要なキーワードだと考えています。例えば、次の時代は今の3Gの非効率さを改善して、いかにして効率的な通信回線を実現できるか、ということが重要でしょう。現在、大量のデータを圧縮して効率的に送れるよう各種実験が進んでいますが、まだまだ未知数の部分があります。そして端末性能の問題などがハードルになり、実現できてもおかしくないものがなかなか実現できない可能性もあります。
例えば、電池の問題。デバイスに負担がかかると、当然電池を食います。そこで、いかにして負担をかけないかがポイントになり、演算をデバイスで行わず、サーバー上で計算されたものをデバイスで表示する、ということになってきます。とはいえ、そうすると大量のデータを常時やり取りしなければならないのですから、それはそれで電池の問題は解決しないことになりますが。
一方で、デバイスは単に表示するのみならず、それを表現力豊かに行うことも重要です。ユーザー・エクスペリエンスが何に立脚するのかというと、「クリック感」に見られるように、「押したとき、触れたとき」の感覚です。それはデバイス側に依拠します。
サーバー上で計算されたものを、端末で表現力豊かに見せようとする。するとデバイスにやはりかなりの負荷が掛かるので、どこでバランスを取るかが問題になってきます。何を問題とし、どう解決するか? 端末メーカー、アプリベンダー、通信キャリア含めた携帯電話業界共通の課題がそこにあると思っています。端末そのものの技術、端末を支える電池の技術。それが解決されなくては、LTEのポテンシャルが活かされない可能性があると思っています。(続く)