北九州市の小学校などの教職員らが、式典で君が代を斉唱する際に起立しなかったことを理由に処分されたのは不当だと訴えた裁判で、最高裁判所は、憲法に違反しないという判断を示しましたが、裁判官の1人が「憲法に違反しないかどうか厳格に検討すべきだ」という反対意見を述べました。
この裁判は、北九州市の小学校や養護学校の教職員らが、入学式や卒業式で起立して君が代を歌わなかったという理由で、平成元年から11年にかけて減給や戒告の処分を受けたのは、思想や良心の自由を保障した憲法に違反すると訴えたものです。1審は処分が重すぎるとして減給処分を取り消しましたが、2審は取り消しを認めず、教職員側が上告していました。14日の判決で、最高裁判所第1小法廷の白木勇裁判長は「思想や良心の自由を間接的に制約する行為だが、教育上の行事にふさわしい秩序の確保を目的としたもので、憲法には違反しない」という判断を示し、教職員らの敗訴が確定しました。一方、5人の裁判官のうち宮川光治裁判官は「教育委員会は教職員らの歴史観に反する行為を強制しており、憲法に違反しないかどうか厳格に検討すべきだ」という反対意見を述べました。君が代の斉唱を巡っては、東京都の教職員らが訴えた3つの裁判で、最高裁はすべて合憲の判断を示しましたが、宮川裁判官ら2人が反対意見を述べています。