福島県浅川町の農家が肉牛に与えていたえさの稲わらから、国の目安を大幅に超える放射性セシウムが検出された問題で、この稲わらは、原発事故の直後から少なくとも4日間は、県南部の白河市で屋外に置かれていたことが分かりました。福島県は、稲わらの流通経路や保管の状況をさらに詳しく調べることにしています。
この問題は福島県浅川町の肉牛農家がえさとして肉牛に与えた稲わらから、最大で国の目安のおよそ73倍に当たる1キログラム当たり9万7000ベクレルの放射性セシウムが検出されたものです。稲わらが与えられていた肉牛42頭が4月8日から今月6日までの間に東京・横浜・千葉・仙台の4か所の食肉処理場に出荷されていました。福島県によりますと、問題の稲わらは福島第一原発から南西におよそ80キロ離れ、避難の対象地域になっていない白河市の7戸の農家から集められ原発事故があった3月11日から少なくとも4日間は屋外に置かれていたということです。稲わらはその後、こん包した状態で白河市内の農家の倉庫で保管され、4月上旬に浅川町の肉牛農家が購入したということです。この農家は「4月上旬に購入したので、心配になって調べてもらった。放射性物質が検出されて驚いている」と話しているということです。また、同じ稲わらは福島県内のほかの3戸の農家にも販売されたということですが、これまでの県の調査に対し、2戸の農家は牛舎に敷くわらとして使うなど餌として与えていないとしているほか、残る1戸も餌として与えていた牛は飼育の途中で、出荷していないと話しているということです。福島県は、稲わらの流通経路や保管の状況について詳しく調べるとともに県内の避難地域などにある肉牛農家に立ち入り調査を行い、その間、およそ4000戸ある県内すべての肉牛農家に対し、牛の出荷や移動を自粛するよう要請しています。また、関係する自治体に牛肉の流通経路の調査を依頼するとともに、確認された場合、牛肉を回収するよう指示しています。