暴力団が関与して800万円で腎臓が売買された事件で、臓器移植法違反の疑いで逮捕された住吉会系組長側が、腎臓の提供を受けた医師と妻に「謝礼は800万円」と金額を指定していたことが捜査関係者への取材でわかった。組長側がほかに200万円を受け取っていたことも判明。警視庁は、この金は別の住吉会系組員との金銭トラブルの仲裁代とみて調べている。
組織犯罪対策4課によると、東京都江戸川区の医師堀内利信容疑者(55)=同容疑で逮捕=は実際に腎移植を受ける前、臓器提供者(ドナー)探しを頼んだ組員(50)=同=と謝礼額を巡ってトラブルになっていた。
捜査関係者によると、このため堀内容疑者は、20年来の親交があった組長の坂巻松男容疑者(70)に仲裁と新たなドナー探しを依頼。妻の則子容疑者(48)=同=は調べに「(800万円の前に)200万円を支払った」と供述しており、同課は、200万円はトラブルの仲裁代とみている。
ドナー紹介の謝礼については坂巻容疑者が、実質的に支配する会社の社長・江口祐子容疑者(47)を交渉役に指定。江口容疑者が「あと800万円でちょうど1千万円になる」と堀内容疑者らに持ちかけた。則子容疑者は800万円について「昨年7月中旬、(自分が主宰する)江戸川区のフラワー教室で江口容疑者に払った」と供述しているという。