政策よりも政局を語りたがる日本のマスコミ
以前から、日本のマスコミは「政策」の議論よりも「政局」の議論が得意で、せっかく国民の間で政策の議論をする機会を、政治家間の争いに焦点をあてたゴシップにすり替えてしまっている、と書いて来たが、13日の菅首相の「脱原発宣言」の報道に関して、その顕著な例が見られたので紹介する。
「事実を伝える」「政府が打ち出した政策に関して国民が考える機会を与える」という報道の基本に忠実な例が、この東京新聞の記事(参照)。
「脱・原発依存」を表明 首相
菅直人首相は十三日夕、官邸で記者会見し、今後のエネルギー政策について「将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」と述べ、深刻な被害をもたらした福島第一原発事故を踏まえ、長期的には原発のない社会を目指す考えを表明した。
首相は事故後、原子力の活用を中心にした現在のエネルギー基本計画の見直しには言及してきたが、「脱原発」に転換する方針を初めて打ち出した。「原発に依存しない社会を目指すべきだと考え、計画的、段階的に原発依存度を下げる」と指摘したが、時期など具体的な目標は「中長期的展望に基づいて議論し固めていきたい」と述べるにとどめた。
(後略)
よけいな意見をはさまず、菅首相の「政策」を読み手に伝えるという役目を十分に果たしている模範的な記事だ。
逆に、この日本の将来を担う重要な「政策」の議論を、無理矢理「政局」の議論にすり替えてしまっているのが、読売新聞の記事(参照)。
「脱原発」宣言…電力供給確保の根拠もなく
菅首相が13日の記者会見で、将来的な「脱原発」を表明したのは、自らがエネルギー政策の見直しという歴史的な転換に着手することで、首相としての実績を作る狙いがあったとみられる。
ただ、原子力発電所に全く依存しない社会を作るための道筋や十分な電力供給が確保できる根拠は示されず、閣内で十分に議論された形跡もない。場当たり的ともいえる対応に、実現性を疑問視する声も多い。
(後略)
特に下線の部分は、「誰がそう見ているのか」「誰がそういう声を上げているか」も示されておらず、単に読み手に「菅首相は保身のために脱原発を言い出した」「脱原発なんて現実的には無理」というイメージを植え付けるための意図的な文章だ。
論説員が自分の意見として書く社説ならいざしらず、ニュースの形でこれだけ意図的な報道をするというのは大きな問題がある。バックにどんな原発利権団体がいるのか分からないが、世論操作と言われてもしかたがない記事だ。
「受け」狙いの「受け」ですか、寒む過ぎますね。記者の名前も無しに、記者の主観を記事にしますか、ネットのコメントよりお粗末。
Posted by: smile | 2011.07.13 at 22:14
kintarou さん。
東京新聞と読売新聞の比較をしているのではなくて、政局ゴシップに偏重して読者の印象を操作するような記事内容を問題としているエントリなので、その指摘は的外れではないかと思います。
Posted by: yunishio | 2011.07.13 at 23:49
官僚とマスコミが批判されないように振る舞い続けてますよね。
民主主義の手続き踏んで偉い人になってるのは政治家だけなんですけどね。
Posted by: amazedkoumei | 2011.07.14 at 03:53