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'11/7/4

上関原発意見書ほぼ出そろう



 中国電力の上関原発建設計画をめぐり、山口県内の各市町議会の意見書がほぼ出そろった。計画の白紙撤回を求める動議を否決した上関町を除き、「凍結」や「中止」などを求めている。被害が広範囲に及んでいる福島第1原発事故の影響で、周辺住民の不安が浮き彫りになったが、中止要望は周南市だけ。安全性確立などを条件に、建設に道を残す表現が目立つ。

 「中止」に踏み込んだ周南市は、市域の一部が建設予定地の30キロ圏内。意見書は「石油化学コンビナートの工場群が全面停止という事態となる」と、避難区域となった場合を懸念。5月27日、意見書案を県内で初めて可決し、提案の動きが広がるきっかけとなった。

 建設予定地の上関町を除き、国の電源立地地域対策交付金の対象となっている2市3町の意見書は、「凍結」が目立ち、計画の再始動に含みを持たせた。

 事前調整が進まず、2案を本会議で採決した柳井市。「上関町の意向を大切に」とした上で「いったん凍結」とする案を賛成多数で可決した。「中止」案に反対した市議は「福島の検証を踏まえない段階で中止は拙速。凍結も効果はあり、安全保障機関の設置も求めている」と説明する。

 動きは30キロ圏外にも広がった。防府、山口、宇部、山陽小野田の4市は「安全性が確立されるまで」などの条件付きで「慎重な対応」などを要請した。

 こうした動きは、県の判断にも影響を与えた。二井関成知事は6月27日の県議会で、「上関の計画自体が不透明な状況にある」として、建設予定地の公有水面埋め立て免許の延長を現状では認めない考えを示した。




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