「私も、被ばくした」――蓮池透が語る、原発労働の実態(前編) (1/4)
北朝鮮による拉致問題で、メディアの前にたびたび登場した蓮池透さん。しかし彼が東京電力で、しかも福島第1原発で働いていたことを知っている人は少ないだろう。今回の大惨事を、蓮池さんはどのように見ているのか。前後編でお送りする。
北朝鮮による拉致問題が注目されたとき、被害者家族として“時の人”となった蓮池透さん。しかし彼が東京電力で、しかも福島第1原発で働いていたことを知っている人は少ないだろう。
蓮池さんは原発でどのような仕事をしてきたのだろうか。また今回の大惨事を、どのように見ているのだろうか。前後編でお送りする。
多くの人が原発で働き、被ばくしている
私は1977年から2009年まで、東京電力で働いていた。その間、原子力発電所や核燃料リサイクル業務を担当。最初の赴任先は福島第1原発で、そこで3年半ほど計測制御装置の保守管理などを行っていた。例えば原子炉の水位や圧力、中性子などを計測していた。
その後、本店に配属され、再び福島第1原発に戻った。2年半ほどいたが、そのときには発電所全体の安全統括を担当。定期検査の結果を旧通産省に報告したりしていた。
もちろん原発の中で、いろんな労働者がいたことは知っている。下請けとして1次、2次、3次、4次……一体何次まであるのか分からないくらい、たくさんの人が原発で働き、彼らが被ばくしている事実を知っている。原発は定期的に検査を行うが、そのとき東芝や日立などと作業契約を結ぶ。しかし東芝や日立の人が契約書にサインするわけではなく、そこからいろんな会社に作業が流れていくのだ。
東電の人間が原子炉内で作業することはなく、あくまで「管理員」という立場。どういう作業が行われているのかを、最終的にチェックしている。簡単に言えば自分たちがお願いした作業が、ちゃんとできているのかをチェックするのが主な仕事だ。
作業員名簿にはいろんな人たちの名前が掲載されている。しかしそれはリストがあるだけで、その人がどういう人なのか――ハッキリ言って分からない。街中で電柱の作業をしている人を見かけることがあるが、そこでも東電の人間が直接手をくだすことはない。電柱工事についても「管理員」という立場で、作業がちゃんとできているのかをチェックしているだけだ。
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