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原因不明の疲れの正体がわかった!女性を疲れさせるホルモン 徹底解明スペシャル

番組放送日:2011年07月12日

「寝てもとれない疲れ」…原因は“女性を疲れさせるホルモン”にあった!?

日常生活すら満足に送れない…果たして疲労感の正体とは? 

様々な症状と闘う新婚女性の治療に密着!

治したい症状は「新婚の奥様ならではの悩み」!その治療法とは? 

 

「寝てもとれない疲れ」…原因は“女性を疲れさせるホルモン”にあった!?

日常生活すら満足に送れない…果たして疲労感の正体とは?

 

※実際の症例を参考に、構成しています。

A・Mさん(22歳・女性)

2008年秋。
大学2年生の彼女は
充実したキャンパスライフを謳歌。
ところが、年が変わった頃、
身体に小さな異変が…。

 

 

 

 

症状①疲労感
1時間ほど歩いただけで、身体全体がひどく重く感じました。しかし10分程休憩するとあっさり解消。1週間後、また疲れを感じますが、この時も少し休むと疲れは嘘のように無くなりました。その後、どんなに睡眠時間をとっても疲れが残る日が続き、3ヶ月経つ頃には朝から身体が重く、何をするにも億劫に感じる始末。

 

 

症状②めまい
疲れを感じ始めてから半年後。度々めまいに襲われるようになったため貧血だと思い、総合病院を訪れます。問診票には辛い症状として「貧血」「疲れる」と記入したものの、医師に訴えたのは病院へ来るきっかけとなった貧血の症状。血液検査の結果、貧血を元とする異常は認められず、診断は疲れや睡眠不足などから起こる「めまい」。その結果にすっかり安心してしまいます。

 

 

症状③かゆみ
しかし、それから1週間ほど過ぎた頃、さらなる異変が。腕や足に猛烈な「かゆみ」を感じるように。疲労感に加え、極度のかゆみ。これでは熟睡できるわけがありません。

 

 

症状④イライラする
寝られない日々に悩まされ、全身を押しつぶすような疲労感は増すばかり。見えない疲れに対するイライラは頂点に達し、ついにその感情は我が身を案じてくれた母に向けられます。肉体的にも精神的にも追い詰められ、学校だけでなく病院に行く気力さえ失い、1日中寝て過ごす日々を送るように。

 

しかし、母親は娘の身体に起きている異変と向き合い、異変の原因を探し求め続けました。その結果、今年1月。ついにある病を疑い、山田先生が院長を務める金地病院に辿り着いたのです。
果たして、彼女を苦しめ続けた病の正体は何だったのか?

女性を疲れさせるホルモン
その正体は・・・『甲状腺ホルモン

 

そのホルモンを分泌しているのが、私達の首にある『甲状腺』という15g程の小さな臓器。これこそが第三の疲労として注目を集めている原因

A・Mさんは甲状腺に異常が発生し、ホルモンバランスを崩していたのです。


病名:バセドウ病
バセドウ病は、女性を疲れさせるホルモン「甲状腺ホルモン」が過剰に分泌する病。すると、全身の新陳代謝が促進され、臓器の活動などが異常に活性化してしまう。特に心臓や消化器などの機能が活発になりすぎ、体内のエネルギーを大量に消費してしまう。患者数の4分の3が女性という圧倒的に女性に多い病。

事実、A・Mさんの心拍数は安静時でも約120と、正常な人の心拍数60のほぼ倍。彼女は、この状態が2年近くも続いていたのです。さらに、時が経つにつれホルモンの分泌量は増加。就寝中でさえエネルギーを使ってしまい、ついには寝ても疲れがとれなくなってしまったのです。

全身の活動を司る甲状腺とそのホルモン。
今、この第三の疲れの原因に異常が発生している人が増えているといいます。



【名医が解説!】女性を疲れさせるホルモンについて詳しくお話します

 

 

金地病院 院長
山田惠美子先生

人間の身体の中では10種類以上のホルモンが臓器や脳で作られており、その中の1つに異常が起こると疲れの原因となる場合があります。そのホルモンを作り出す臓器が「甲状腺」です。

 

 

甲状腺の大きさは…
縦:約4~5cm
横:約2~3cm
厚さ:約1cm
重さ:約15g
※男性は、これよりやや大きめ。
蝶が羽を広げたような形をした臓器です。



 

甲状腺は、やや張り出している「のど仏」のすぐ下。鎖骨のすぐ上の辺りに、気管を囲むようにしてついています。
実際の甲状腺は「生レバー」の様に柔らかい上、脂肪と筋肉と皮膚に覆われているため、触ってもほとんど感じないと思われます。



 

バセドウ病になると、半数位の人の甲状腺がこれくらいの大きさに腫れます。これで通常の10倍程の大きさがありますが、もっと大きく腫れる方もいます。このくらい腫れると、自分で触ってもわかります。感触は「ビニールのボール」が中に入っているイメージです。


甲状腺は、無数の袋状の物が集まってできています。この袋は分泌された「甲状腺ホルモン」を溜める役割をしています。正常な場合は問題ありませんが、バセドウ病を患うと、過剰に作られた甲状腺ホルモンがこの袋にどんどん溜め込まれていきます。バセドウ病の場合、袋の数自体も増えますし、血流も増えるため、甲状腺が腫れていくのです。 

 

 

これは、実際の患者さんの写真です。甲状腺が腫れていることがよくわかります。

画像提供:金地病院


このように腫れてくると、溜まった甲状腺ホルモンが体中に過剰分泌され、様々な症状を引き起こします。バセドウ病の症状は、多種多様で何気ない症状が多いのが特徴です。

 

バセドウ病の代表的な症状
【見た目にわからない症状】
・疲れやすい ・脈が速い ・暑がり ・かゆみ ・息切れ ・口が渇く ・便の回数の増加
・眠れない ・微熱が続く

【見た目にもわかる症状】
・発汗増加 ・手足の震え ・体重の減少 ・甲状腺の腫れ ・眼球が飛び出る ・髪の毛が抜ける

【精神的な症状】
・イライラする


これらの症状は、全身の細胞が甲状腺ホルモンによって活発に動くために起こる症状です。
例えば、「かゆみ」は皮膚が敏感になっているため、ちょっとした刺激でも「かゆみ」として現れます。「動悸息切れ」は心臓が活発に動くことで現れますし、腸が活発に動くことで「排便回数」が増加したりします。
4つ以上当てはまる場合には、バセドウ病の可能性がありますので、専門医を受診される事をお勧めします。

Q:こんなに症状があるのに、なぜすぐにこの病気だとわからない?
A:全身に様々な症状が出ると、どこが悪いのか患者さん自身がわからず、その時に気になった症状しか医師に伝えないため、なかなか「甲状腺の異常」にたどり着けないケースがあります。気になる症状は、総合的に医者に伝えるようにすることが大切です。

Q:バセドウ病を発症しやすい年齢は?
A:最も患者さんが多い年代は20代~40代ですが、10代、50代~60代の患者さんもいらっしゃいます。



今、大きな問題となっている、「福島第一原発事故」。
震災直後から放射性物質が拡散されていますが、“危険”だと真っ先に注目されたのが
甲状腺”です。


Q:原発の放射性物質は大人より子供に影響が大きいと言われていますが、本当ですか?

A:放射線の中には「放射性ヨード」が含まれており、これが口から体内に入ると最大で約30%が甲状腺の中に取り込まれると言われています。子供の場合、それが原因で小児の甲状腺がんになると言われています。18歳未満は成長時期で大人に比べて細胞分裂が激しいため、放射性ヨードの影響を受けやすいとされているのです。

Q:子供も甲状腺がんの検査を受けたほうがよい?
A:心配であれば、甲状腺の超音波検査(エコー検査)という痛くない方法で、甲状腺がんがあるかどうかが分かります。ですが、チェルノブイリ原発事故の場合、福島の初期に比べて7倍も放射線量が多かったことや、被曝した食品を知らずに食べ続けていたために、小児の甲状腺がんが発生したと思われますので、放射性ヨードを体内に取り込まないために、以下の2つに注意されるとよいでしょう。

●「放射線濃度が高い地域に行かない」こと
危険地域とされる30km圏内や、計画的非難区域などに立ち入らないことです。

●「汚染された食品を口にしない」こと
日本では、汚染された食品は出荷制限や廃棄処分などされているため、危険性は低いと思われます。

小児の甲状腺がんを発症しても、きちんと治療をしていれば元気に生活することは可能ですので、あまり心配しすぎないことが大切です。 

健康チェック「甲状腺の病気問診」

   

女性に多い甲状腺の病。甲状腺の病気には様々な症状が出ます。
その為、他の病気と勘違いされやすいケースも。甲状腺の病の可能性をチェックしましょう。

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「甲状腺の触診チェック」

   

女性に多い甲状腺の病。実に女性の10~20人に1人が甲状腺に異常があるといわれています。
触診チェックで甲状腺の病を早期発見しましょう!

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様々な症状と闘う新婚女性の治療に密着!

治したい症状は「新婚の奥様ならではの悩み」!その治療法とは?

 

2011年6月1日、山田先生が院長をつとめる東京 金地病院を一人の女性が訪れました。K・Mさん(24歳)は、今年4月に入籍したばかりという新婚ホヤホヤの若奥様。実はK・Mさん、一週間前ここで様々な甲状腺の検査を受け、今日その結果を教えてもらうことになっていたのです。検査の結果はバセドウ病。彼女に聞くと、その症状はまさにバセドウ病の特徴的な症状でした。

K・Mさん『全身を締め付けられるような痛みや動悸があり、心臓だけでなく首の脈も速くて首から心臓が出るような感じ。洋服を着ていても全身が痒く、尋常でないぐらいに掻いてしまう…』

その他、疲れはもちろん手の震えなど様々な症状が現われ、発病から半年後には日常生活さえ満足に送れなくなっていました。早速 山田先生はK・Mさんに【肌のかゆみを抑える薬】【動悸や脈を抑える薬】【メルカゾールと呼ばれるバセドウ病の特効薬】の3つの薬を処方しました。


 


バセドウ病とは、体内で作られた異常物質が甲状腺に取り付き甲状腺ホルモンが大量に分泌されることで発症する病。

K・Mさんに処方されたメルカゾールは、甲状腺ホルモンの量を減少し、その異常物質を取り除いてくれる薬。50年前から使用されている最も効果があるとされる薬ですが、白血球が低下したり、じんましんによるかゆみが悪化するなど副作用が出やすく、その場合は別の治療法で対応しなければなりません。

早い人で1年、彼女の場合、およそ3年をめどに薬による治療を続けていきます。
今後、2週間に1度来院して副作用の検査を受けることになりました。

実は彼女が最も治したかったバセドウ病の症状は、新婚の奥様ならではの「満足にご飯が作れない」という悩み。そこで、実際に台所に立つ様子を拝見させていただく事に。 

 

【治療前】
晩御飯の支度に取り掛かるK・Mさん。料理が得意というだけあって、なかなかの手つき。

●休憩を挟みながらの調理
料理開始15分後。突然作業を中断し、ソファに身体を投げ出してしまいます。
そして5分程休むと、再び腰を上げて調理再開。
こうして何度となく休みながらも懸命に調理を続けます。
結局、挟んだ休憩の数は5回。

●手の震え
大根を手に取り、おろし始めますが、なぜかスムーズにいきません。
しまいには、大根を落としてしまいます。手の震えにより、しっかり大根を掴めていないよう。
そして悪戦苦闘する事10分。ついには、おろしがねで指を傷つけてしまいました。

以前なら1時間足らずで出来ていた料理が実に2時間以上もかかってしまったのです。


投薬治療では、2週間、以下の薬を飲み続けます。
【1日の薬】
メルカゾール:朝夕6錠
かゆみを抑える薬:夕2錠
動悸・息切れを抑える薬:朝夕2錠

2週間後、K・Mさんは幸い心配していた副作用もなく治療は順調なよう。

 

【治療20日後】
再びK・Mさんの自宅を訪ねました。
手を見せてもらうと、治療前と比べて明らかに震えが治まっています
手に力が入らず四苦八苦していた大根おろしもスムーズにできるように。

この日は1度も休憩せず、1時間ちょっとで4品の料理を作り上げました。

 

まだ、日によって症状の出る時があるものの、着実に普通の生活を送れるようになってきたそう。今後も、副作用の有無をチェックしながら投薬治療に専念するといいます。

バセドウ病は決して「不治の病」ではありません。適切な薬さえ飲めば良くなるのです。

 

『 甲状腺の病気の解決法 』


甲状腺の検査はどうするの?治療方法は?
甲状腺の名医・山田先生に詳しく教えて頂きます!

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