番組放送日:2011年07月12日
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「寝てもとれない疲れ」…原因は“女性を疲れさせるホルモン”にあった!? 日常生活すら満足に送れない…果たして疲労感の正体とは? 治したい症状は「新婚の奥様ならではの悩み」!その治療法とは? |
※実際の症例を参考に、構成しています。
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症状①疲労感 |
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症状②めまい |
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症状③かゆみ |
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症状④イライラする |
しかし、母親は娘の身体に起きている異変と向き合い、異変の原因を探し求め続けました。その結果、今年1月。ついにある病を疑い、山田先生が院長を務める金地病院に辿り着いたのです。
果たして、彼女を苦しめ続けた病の正体は何だったのか?
女性を疲れさせるホルモン
その正体は・・・『甲状腺ホルモン』
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そのホルモンを分泌しているのが、私達の首にある『甲状腺』という15g程の小さな臓器。これこそが第三の疲労として注目を集めている原因。 |
病名:バセドウ病
バセドウ病は、女性を疲れさせるホルモン「甲状腺ホルモン」が過剰に分泌する病。すると、全身の新陳代謝が促進され、臓器の活動などが異常に活性化してしまう。特に心臓や消化器などの機能が活発になりすぎ、体内のエネルギーを大量に消費してしまう。患者数の4分の3が女性という圧倒的に女性に多い病。
事実、A・Mさんの心拍数は安静時でも約120と、正常な人の心拍数60のほぼ倍。彼女は、この状態が2年近くも続いていたのです。さらに、時が経つにつれホルモンの分泌量は増加。就寝中でさえエネルギーを使ってしまい、ついには寝ても疲れがとれなくなってしまったのです。
全身の活動を司る甲状腺とそのホルモン。
今、この第三の疲れの原因に異常が発生している人が増えているといいます。
【名医が解説!】女性を疲れさせるホルモンについて詳しくお話します
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金地病院 院長 人間の身体の中では10種類以上のホルモンが臓器や脳で作られており、その中の1つに異常が起こると疲れの原因となる場合があります。そのホルモンを作り出す臓器が「甲状腺」です。 |
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甲状腺の大きさは… |
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甲状腺は、やや張り出している「のど仏」のすぐ下。鎖骨のすぐ上の辺りに、気管を囲むようにしてついています。 |
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バセドウ病になると、半数位の人の甲状腺がこれくらいの大きさに腫れます。これで通常の10倍程の大きさがありますが、もっと大きく腫れる方もいます。このくらい腫れると、自分で触ってもわかります。感触は「ビニールのボール」が中に入っているイメージです。 |
甲状腺は、無数の袋状の物が集まってできています。この袋は分泌された「甲状腺ホルモン」を溜める役割をしています。正常な場合は問題ありませんが、バセドウ病を患うと、過剰に作られた甲状腺ホルモンがこの袋にどんどん溜め込まれていきます。バセドウ病の場合、袋の数自体も増えますし、血流も増えるため、甲状腺が腫れていくのです。
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これは、実際の患者さんの写真です。甲状腺が腫れていることがよくわかります。 |
画像提供:金地病院
このように腫れてくると、溜まった甲状腺ホルモンが体中に過剰分泌され、様々な症状を引き起こします。バセドウ病の症状は、多種多様で何気ない症状が多いのが特徴です。
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バセドウ病の代表的な症状 【見た目にもわかる症状】 【精神的な症状】 |
これらの症状は、全身の細胞が甲状腺ホルモンによって活発に動くために起こる症状です。
例えば、「かゆみ」は皮膚が敏感になっているため、ちょっとした刺激でも「かゆみ」として現れます。「動悸息切れ」は心臓が活発に動くことで現れますし、腸が活発に動くことで「排便回数」が増加したりします。
4つ以上当てはまる場合には、バセドウ病の可能性がありますので、専門医を受診される事をお勧めします。
Q:こんなに症状があるのに、なぜすぐにこの病気だとわからない?
A:全身に様々な症状が出ると、どこが悪いのか患者さん自身がわからず、その時に気になった症状しか医師に伝えないため、なかなか「甲状腺の異常」にたどり着けないケースがあります。気になる症状は、総合的に医者に伝えるようにすることが大切です。
Q:バセドウ病を発症しやすい年齢は?
A:最も患者さんが多い年代は20代~40代ですが、10代、50代~60代の患者さんもいらっしゃいます。
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今、大きな問題となっている、「福島第一原発事故」。 |
Q:原発の放射性物質は大人より子供に影響が大きいと言われていますが、本当ですか?
A:放射線の中には「放射性ヨード」が含まれており、これが口から体内に入ると最大で約30%が甲状腺の中に取り込まれると言われています。子供の場合、それが原因で小児の甲状腺がんになると言われています。18歳未満は成長時期で大人に比べて細胞分裂が激しいため、放射性ヨードの影響を受けやすいとされているのです。
Q:子供も甲状腺がんの検査を受けたほうがよい?
A:心配であれば、甲状腺の超音波検査(エコー検査)という痛くない方法で、甲状腺がんがあるかどうかが分かります。ですが、チェルノブイリ原発事故の場合、福島の初期に比べて7倍も放射線量が多かったことや、被曝した食品を知らずに食べ続けていたために、小児の甲状腺がんが発生したと思われますので、放射性ヨードを体内に取り込まないために、以下の2つに注意されるとよいでしょう。
●「放射線濃度が高い地域に行かない」こと
危険地域とされる30km圏内や、計画的非難区域などに立ち入らないことです。
●「汚染された食品を口にしない」こと
日本では、汚染された食品は出荷制限や廃棄処分などされているため、危険性は低いと思われます。
小児の甲状腺がんを発症しても、きちんと治療をしていれば元気に生活することは可能ですので、あまり心配しすぎないことが大切です。
2011年6月1日、山田先生が院長をつとめる東京 金地病院を一人の女性が訪れました。K・Mさん(24歳)は、今年4月に入籍したばかりという新婚ホヤホヤの若奥様。実はK・Mさん、一週間前ここで様々な甲状腺の検査を受け、今日その結果を教えてもらうことになっていたのです。検査の結果はバセドウ病。彼女に聞くと、その症状はまさにバセドウ病の特徴的な症状でした。
K・Mさん『全身を締め付けられるような痛みや動悸があり、心臓だけでなく首の脈も速くて首から心臓が出るような感じ。洋服を着ていても全身が痒く、尋常でないぐらいに掻いてしまう…』
その他、疲れはもちろん手の震えなど様々な症状が現われ、発病から半年後には日常生活さえ満足に送れなくなっていました。早速 山田先生はK・Mさんに【肌のかゆみを抑える薬】【動悸や脈を抑える薬】【メルカゾールと呼ばれるバセドウ病の特効薬】の3つの薬を処方しました。
バセドウ病とは、体内で作られた異常物質が甲状腺に取り付き甲状腺ホルモンが大量に分泌されることで発症する病。
K・Mさんに処方されたメルカゾールは、甲状腺ホルモンの量を減少し、その異常物質を取り除いてくれる薬。50年前から使用されている最も効果があるとされる薬ですが、白血球が低下したり、じんましんによるかゆみが悪化するなど副作用が出やすく、その場合は別の治療法で対応しなければなりません。
早い人で1年、彼女の場合、およそ3年をめどに薬による治療を続けていきます。
今後、2週間に1度来院して副作用の検査を受けることになりました。
実は彼女が最も治したかったバセドウ病の症状は、新婚の奥様ならではの「満足にご飯が作れない」という悩み。そこで、実際に台所に立つ様子を拝見させていただく事に。
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【治療前】 |
投薬治療では、2週間、以下の薬を飲み続けます。
【1日の薬】
メルカゾール:朝夕6錠
かゆみを抑える薬:夕2錠
動悸・息切れを抑える薬:朝夕2錠
2週間後、K・Mさんは幸い心配していた副作用もなく治療は順調なよう。
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【治療20日後】 この日は1度も休憩せず、1時間ちょっとで4品の料理を作り上げました。 |
まだ、日によって症状の出る時があるものの、着実に普通の生活を送れるようになってきたそう。今後も、副作用の有無をチェックしながら投薬治療に専念するといいます。
バセドウ病は決して「不治の病」ではありません。適切な薬さえ飲めば良くなるのです。
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甲状腺の検査はどうするの?治療方法は? |
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