【宜野湾】宜野湾市の安里猛市長は16日、外務省沖縄事務所を訪れ、津波災害時に住民が基地内の道路を通って避難する現地実施協定を申請した。協定の市案では、津波警報や大津波警報が発令された場合、米軍普天間飛行場とキャンプ瑞慶覧の2ゲートを開放し、住民が高台へ避難するための通行と、一時避難場所としての基地内への立ち入りを求めている。締結されれば県内初の事例。
市が避難ルートとして想定しているのは現時点で二つ。(1)国道58号の大山ゲートから市道の佐真下ゲートに抜ける普天間飛行場内(2)北谷町北前の国道58号北前ゲートから県道81号新城ゲートに抜けるキャンプ瑞慶覧内。いずれも災害時と防災訓練の際に、基地内避難ルートとして立ち入りを求めた。
伊佐、大謝名地区など同市の西海岸地域は、住宅街や大型商業施設、ホテルなどが立地し、住民の避難ルート確保が課題となっている。東日本大震災が起きた3月11日には津波警報が発令された際、伊佐、大謝名の両交差点で高台方面へ避難する車両で渋滞が発生した。
安里市長は「伊佐区など低地帯には、約2万人余りの住民が生活している。協定に基づき、地域の皆さんと防災訓練を実施し、これからの防災体制の確立をしていきたい」と述べた。
対応した伊従誠副所長は「前向きな話があり、外務省としても最大限、協力と支援を行い、迅速に進めていきたい」と回答した。
同市によると今後、外務省沖縄事務所と沖縄防衛局の協議が始まり、その中で米軍と調整するという。
災害時における在日米軍施設への立ち入りは、2007年4月の日米合同委員会で合意。
08年、赤坂プレスセンター(東京都)のヘリポートを災害時に使用する協定が結ばれている。