菅直人首相をいつ辞めさせるのか。あるいは、いつ辞めてもらうのか。
政治の貴重なエネルギーをそういう非生産的なことに浪費するのはもうやめてほしい。この国会中の退陣という大局はほぼ決している。後は誤差の範囲内ではないか。
それよりも、この夏は政治家個々人の政策を鍛え上げてもらいたい。というのも、この先の政治日程をにらむと、選挙によって政策を問う機会が目白押しだからである。まずは、菅氏が退陣した後の民主党代表選がそれだ。新代表決定後の衆院での首相指名選挙も与野党間で政策連携になる可能性がある。もちろん、菅首相が退陣せず解散・総選挙を打った場合もしかり、である。
新政権は大連立か政策別連携かは別にして、約束の政策執行のメドがついた段階で選挙の洗礼を受けざるを得ない。多分新年度予算が成立する12年春ごろだろう。さらには、13年夏には参院選があり、ねじれ解消のための衆参同日選挙の公算が大きい。
われわれは過去2回の衆院選で、残念な体験をしている。05年の郵政民営化選挙ではあれだけの支持を集めた改革がいつの間にか変質した。09年の政権交代選挙ではかつてないほどのマニフェスト不信を呼び起こした。特に09年のケースは、政策の優先順位、実現可能性について政党内部もメディアもチェックできなかった反省が残る。
選挙での民意の追い風をこれ以上愚弄(ぐろう)するわけにはいかない。経済・財政、原発・エネルギー、外交・安保の基幹政策については、党派としての建前を今一度解体し、個々の議員やグループが、本音ベースでその創意と良心に従い個別マニフェストを構築、発信してはどうか。この夏にしかできない作業である。国民の目は、党派の枠を超え、政界再編をにらみ個々の政治家の政策能力をも吟味するだろう。
毎日新聞 2011年7月14日 0時11分
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