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最終更新:2011年7月13日(水) 21時52分

独自に放射線量測る在日外国人たち

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 福島第一原発の事故の後、放射線量について正確な情報が欲しいと訴える声が後を絶ちません。そんな中で独自に測定を続け、データを公表している外国人のグループがいます。彼らを駆り立てたものとは何だったのでしょうか。

 先月、東京で外国人のグループ「セーフ・キャスト」によるセミナーが開かれました。

 「我々の目的は世界中、とりわけ今は日本で放射線を測定することです」(ピーター・フランケンさん)

 オランダ出身のピーター・フランケンさん(43)は、日本に来て21年。震災の後、妻の実家の石巻を訪れたことをきっかけに、活動を始めたといいます。

 「無力感を感じたあと、自分に何ができるかを考えました。私には技術的知識とそれをどう効果的に使うか、まとめる能力があり、それを生かそうと思ったのです」(ピーター・フランケンさん)

 知り合いの科学者やコンピュータプログラマーなどに声をかけ、福島第一原発の事故から1週間でプロジェクトを立ち上げました。

 「こちらのお弁当箱。開けると中には“bGeigie”(弁当ガイガーシステム)が入っているんです」(ピーター・フランケンさん)

 箱の中にはGPSやメモリーカードが入っていて、移動しながら広い範囲の放射線量を測定できます。

 「前を走る赤い車、外国人ボランティアらが現在、走行しながら放射線量を測定しています」(記者)

 「(数値が)少し上がってる。車内は外より低い」(ピーター・フランケンさん)

 彼らは、日本の自治体が出している放射線量のデータでは汚染の全容が把握できないと、ガイガーカウンターを車につけて独自の測定を行っています。この日、向かったのは福島県いわき市。

 「時間ができたときに車に取り付けて走り回っています」(ブレット・ウォーターマンさん)

 7年前からいわき市に住んでいるブレットさん。原発事故の後、引っ越ししていった人もいるといいます。

 「不安を払拭するため、何が起きているか知る必要がある。そこまで放射線量が悪くないことが分かれば、こんなにいい場所から引っ越す必要はなくなるでしょう」(ブレット・ウォーターマンさん)

 福島市の主婦、齊藤さんは、中学生の息子が放射線量が高いといわれる学校の校庭でサッカーをしていることに不安を抱いています。

 「(放射能は)目に見えないから不安。数値も代表的な場所しかないから余計不安。自分たちでは線量計は高くて、そう買えるものではない」(齊藤洋美さん)

 これまで10台のガイガーカウンターを使って、50万か所に上るデータを集め、インターネット上で公開しています。ピーターさんたちは、年末までに600台のガイガーカウンターシステムを稼働させたいと考えています。

 「たとえばタクシーや宅配トラックに搭載できれば、より新しく広範囲のデータを入手することができます」(ピーター・フランケンさん)

 他人が動くのを待ってはいられないとばかりに、積極的に動く外国人たち。その行動力が日本の政府に突きつけているものは、大きい。(13日17:55)

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