2011年5月20日 21時47分
東日本大震災による津波に襲われた仙台市東部地区で、家屋が全半壊した住民の約3分の2が「今後は別の場所に移転したい」と考えていることが20日、市の調査で分かった。こうしたケースについては市も集団移転を勧める方針だが、移転希望者の多くは財政的な支援を望んでおり、焦点になりそうだ。
調査は5~10日、主に避難所にいる成人2903人に用紙を配り1770人が答えた(回答率60.9%)。市は回答を(1)家屋が全半壊した地域(2)半壊もしくは一部損壊した地域(3)ほとんどが一部損壊だった地域--に分けて分析し、市議会に20日報告した。
移転の意向に関する質問では、(1)のうち28.9%が「可能な限り別の場所に移動したい」、35.9%が「条件付きだが移動したい」と答えた。
「元の場所で生活したい」は条件付きを含めても33.5%にとどまった。
市によると、移転希望者の多くは「国や自治体からの財政的な支援を望む」と回答。職業別では、パートや無職は「移転」、専業農家は「残留」の割合が高いという。
市は復興の方向性を示す「市震災復興ビジョン」原案で、津波で家屋が流失・全壊した地域に今後5年で集団移転を勧める方針を示している。市震災復興本部は「被災者の意向を踏まえ、生活再建を支えていきたい」と話している。【平元英治】