東日本大震災:宮城で早期検知 新幹線、減速し無事停車

2011年5月20日 2時30分 更新:5月20日 2時44分

東日本大震災発生当時の東北新幹線運行状況
東日本大震災発生当時の東北新幹線運行状況

 東日本大震災の際、JR東日本が太平洋沿岸に設置した新幹線の早期地震検知システムが、沿線に強い揺れが到達する12~73秒前に緊急警報を出していたことがJR東日本の検証で分かった。東北新幹線では当時、被災エリア内を5本の列車が時速270キロ前後で走行中だったが、震度5弱以上の揺れが来る前に送電を停止して非常ブレーキも作動。速度(時速)が推定で30~170キロ減速し、無事停車したという。

 JR東によると、宮城県石巻市の金華山地震計が午後2時47分3秒に120ガルを超える地震の主要動(S波)を観測し、震源域や地震規模の情報を沿線にある各変電所の地震計に送信した。その際、東京-新青森間で18本が営業運転中で、特に被害の大きかった新白河(福島県)-二戸(岩手県)間には上下10本がおり、うち5本は時速270キロ前後で走行していた。

 送電停止から列車の非常ブレーキ作動までには3秒のタイムラグがあるが、激震に見舞われた仙台市近辺を時速265キロで走っていた「やまびこ61号」は大きな揺れが来る9秒前に緊急停止を始め、速度(時速)が30キロ以上ダウンした。

 また、福島県郡山市周辺を270キロで運転中の「やまびこ63号」は70秒前に非常ブレーキがかかり、約170キロ減速。揺れの加速度が690ガルだった同県二本松市近郊を走行中の「はやて26号」は270キロから150キロ台にスピードが落ちたとみられるという。

 沿線で観測した最大加速度は、くりこま高原(宮城県)-一ノ関(岩手県)間の新有壁地震計(宮城県栗原市)の1278.7ガルで、針が振り切れて計測不能になっていた。

 JR東日本は「最初に来るP波(初期微動)が微弱で、地震計が捕捉できなかった可能性が高く、地震の発生メカニズムや規模が想定をはるかに超えていたと思われる。強い揺れが断続的に襲って来る前にS波を検知できたのが奏功した」と分析し、詳しい鑑定を専門家に依頼している。【斎藤正利】

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