東日本大震災:公平性確保が課題 二重ローン全銀協要望

2011年5月19日 21時46分 更新:5月20日 1時5分

 全国銀行協会が19日、民主党に提出した東日本大震災の被災者らの「二重ローン」問題の解決に向けた要望は、被災者らが抱える債務や土地を国が買い取ることが柱だ。しかし、買い取りによる支援を拡大すれば国の財政負担が膨らむうえ、被災者間の公平性確保も課題となるため、政府・与党内の調整は難航しそうだ。

 全銀協は、銀行側も元本返済の猶予や金利減免に応じるべきだとの考えを提示した上で、国の支援を求めた。具体的には、国に対し、被災前の評価額を参考にした「適切な価格」で土地や設備の買い上げを求めたり、民間金融機関による支援だけでは再建が困難な中小企業に対して、公的機関が債務を「適切な価格」で買い取ることを求める。さらに公的機関が融資返済の際の利子を負担することや、融資に対する信用保証制度などの拡充も提案した。

 ただ、政府支援策を大幅に拡充すれば、国が事実上、債務を肩代わりすることになる。阪神大震災など過去の大災害時でもローンの買い取りなどの例はなく、「元本の減免まで踏み込めば(借金を棒引きにする)『徳政令』になってしまう」(財務省幹部)として、反対の声もある。

 被災者間の公平性をいかに確保するかも課題だ。自宅などを失った被災者の中には、自己資金だけで再建費用をまかなっていたケースもあり、ローンのある人だけを救済すれば、不公平感が生じるためだ。【谷川貴史、田所柳子】

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