活用難しい“埋蔵電力” 売電可能なのはわずか
2011/07/13
国内の電力9社の供給エリアにある自家発電設備約3450万キロワットのうち、当面の供給力として期待できるのはわずか120万キロワット--。自家発の活用を巡るそんな厳しい現実が、経済産業省資源エネルギー庁の聞き取り調査で明らかになった。エネ庁は4日調査結果を官邸に報告したが、経産省に不信感を強める菅直人首相が経産省に再調査を要求したため、貴重なデータは公表されず、“お蔵入り”になっていた。 (長岡 誠)
政府による唐突なストレステストの実施発表や、九州電力のメール問題により、原子力発電所の再稼働が見通せない状況の中、政府内で全国に存在する自家発の余剰電力に期待する声が高まっている。
■ 「魅力的な言葉」
首相は6日の衆院予算委員会でみんなの党の渡辺喜美代表が自家発余剰を「埋蔵電力」とたとえ、活用を促すと「魅力的な言葉を提起頂いた」と答弁。経産省に活用可能性を調査させたが結果に納得せず、再検討を求めていたことを明らかにした。
ただ、首相が納得しなかったエネ庁の調査結果は、当面の供給力として自家発を急拡大することが難しいことを如実に示している。
エネ庁の調査によると、9電力の供給エリアにおける自家発容量は5373万キロワット。すでに電力各社の供給力に織り込まれている卸供給設備を除けば、設備容量は3445万キロワットとしている。このうち約260万キロワットは、今夏の供給力としてすでに電力会社に売電されている。
■ 余剰電力少なく
問題は残りの約3200万キロワットをどこまで供給力として見込めるかだが、エネ庁が設備容量ベースで約6割にあたる262社に聞き取りを行った結果、利用可能な余剰電力は休廃止設備を含めても275万キロワットにとどまることが分かった。
■ 3%にとどまる
さらにこの275万キロワットのうち、電力系統への接続状況などにより売電可能性があると事業者から回答があったのはわずか116万キロワット。全体の設備容量に対し、当面の供給力として活用が見込めるのは3%程度にとどまると結論付けている。 (本紙1面より)
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