THIS WEEK 政治

菅首相なみの驚異的“粘り腰” 池田副大臣のプライドと執念

「俺は簡単には辞めない」

 と居座りを決め込む菅直人首相。六日の衆院予算委員会では、早期退陣か衆院解散を、と迫った渡辺喜美みんなの党代表に対して、こう宣言した。

「大きな激励と受け止めた。満身創痍、刀折れ矢尽きるまで、私の力の及ぶ限りやるべきことをやっていきたい」

 その一方で、首相に負けず劣らずの粘り腰を見せているのが、経済産業副大臣の池田元久衆院議員(神奈川六区)である。

 NHK記者出身の池田氏は当選六回の七十歳。仙谷由人官房副長官や岡田克也幹事長と同じ一九九〇年初当選組だが、二回の落選がたたり、今や当選回数も年齢も下の海江田万里経産相に仕える身だ。

 同僚の民主党議員が語る。

「プライドの高い池田氏は『海江田ごとき……』という対抗意識が強く、何かと張り合うため、海江田氏は手を焼いていた。五月に池田氏が体調を崩して一時入院したのを機に、海江田氏は池田切りに踏み切った。まず福島第一原発事故の現地対策本部長の職を解き、副大臣の辞表を自主的に提出するよう促したのだが、池田氏は『体調は順調に回復している。辞める理由はない』と拒否。それなら人事権を行使するだけと、海江田氏は交代人事を発令しようとしたが、池田氏の徹底抗戦でいまだに実現していない。すさまじい執念だよ」

 海江田氏の要請を受けて、首相はこの間二度、池田氏の後任人事を進めようとした。最初は首相補佐官だった馬淵澄夫衆院議員に経産副大臣への転出を持ち掛けたが、馬淵氏はアッサリ打診を拒否。

 次は中山義活政務官に副大臣昇格を要請し、了承を取り付けた。しかし、今度は民主党国対からクレームがついたとの理由で、首相が「さっきの話はなかったことにしてくれ」と要請そのものを取り消したため幻に終わった。

 偶然にも池田氏にとってラッキーが続いたと思いきや、中山政務官が属する鳩山グループ関係者は、こう明かす。

「国対のクレーム云々は表向きの方便。人事がつぶれた本当の理由は、池田氏が『どうしてもクビにすると言うなら、俺の知っていることを洗いざらいバラすぞ』と首相を脅したからだと聞く。原発事故対応のミスに関することだろう」

 その真偽は藪の中だが、鳩山グループ内ではそうした見方が専ら。鳩山由紀夫前首相も「一度、池田さんから話を聞きたい」と強い関心を示しているという。


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