ドイツの送電会社4社も、同国南部の推定400万世帯に対して冬季の電力供給を保証できないと明らかにしている。
チェコ産業貿易省の電力部門のディレクター、ロマン・ポルチュザク氏は取材に対し、「問題は、停電が起きるかどうかではなく、いつ起きるかだ。欧州地域の半分に影響が及ぶ可能性がある」と語った。
ドイツが電力不足を補うため隣国のチェコやポーランドからの電力輸入に頼るのは難しい。ポーランドとチェコの送電網は国内需要をまかなうために30年前以上に作られたもので、両国が欧州の電力取引制度に参加する以前に建設されたもので、容量も不足しているためだ。
チェコの電力最大手CEZで販売・トレード部門の責任者を務めるアラン・スボボダ氏は「ドイツへの送電が設備と電力供給の安全性に多大なプレッシャーを与える」と指摘した。
◆再生エネのコストも
英調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの電力アナリスト、マノン・デュフール氏は「ドイツは原発の代わりに再生可能エネルギーを利用しようとしており、そのためのコストも引き受けるだろう」と指摘した。ドイツは昨年、電力の約17%を再生可能エネルギーでまかなっている。
ドイツ銀行は、脱原発によって、ドイツが電力輸入国になると指摘。昨年、14テラワット時を輸出したが、今年は約4テラワット時の輸入超過となる見通しという。欧州の指標となるドイツの電力先物料金は今後1年で11%上昇する可能性があるとみている。(ブルームバーグ Lars Paulsson、Marek Strzelecki)