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マッコリ:空前のブーム K-POPで拍車

マッコリバーでマッコリカクテルを口にする女性客=東京都新宿区で、津村豊和撮影
マッコリバーでマッコリカクテルを口にする女性客=東京都新宿区で、津村豊和撮影

 韓国料理に合う酒といえば「マッコリ」。元々は農作業の合間に飲まれたという濁り酒だが、日本では若い女性のファンが急増、市場も急拡大しているという。なぜ?

 東京・新宿駅に近いビルの地下の一角。ほの暗い店内で女性客が楽しそうに語らいながら、仕事の疲れを癒やしていた。壁の棚には白色の酒瓶がずらり。日本初のマッコリ専門バーとして06年から営業している「てじまぅる」(東京都新宿区西新宿7)には、国産と韓国産の50~70種類のマッコリがそろう。カクテルも合わせると、メニューは200種類を超える。

 マッコリは主原料の米を乳酸発酵させた酒。そのカクテルを初めて味わったという会社員、大束弘実さん(32)は「アルコール臭さがなく、ヨーグルトっぽくて女性にも飲みやすい」と、気に入ったようだ。

 高橋伸子代表によると、客の8割以上は女性。特に若い女性からの注文が多いのが、イチゴ、ミカンなどの果肉やエキスを入れた甘いフルーツ系カクテル。いっぷう変わったところでは、おこげ味や黒豆味も人気だ。

 当初は30~50代の主婦層が多かったが、昨年夏ごろから変わってきた。「お客様の年齢層が急に下がり、最近では20代前半の方が多いですね」と高橋さん。

 こうした動きに呼応するように、大手メーカーもマッコリ市場に参入している。3月には飲料大手のサントリーが缶入り微炭酸マッコリ「ソウルマッコリ」を発売。人気上昇中の韓国人俳優、チャン・グンソクさん(23)がバーのマスターに扮(ふん)して女性客に語りかけるCMも話題になり、今年の販売計画を当初の840万本から約3倍の2400万本に上方修正した。

 韓国の大手焼酎メーカー・真露は一足早い昨年3月、酸味を抑えて日本人の味覚に合わせたペットボトル入りのマッコリを発売。スーパーやコンビニなどで手軽に購入できるようにした。サントリーの推計では、国内のマッコリ市場は08年の約5倍の約7200万本(350ミリリットル缶換算)と急伸している。

 なぜマッコリが、日本の女性たちに好まれるのか--。

 コリアンフード・コラムニストの八田靖史さんは「マッコリ人気は韓流ブームと共に高まった」と語る。ヨン様(俳優のぺ・ヨンジュンさん)ブームが04年ごろピークに達し、コリアンタウンである新大久保(新宿区)を訪れる主婦層が増えた。すると飲食店でも、韓国的で飲みやすい酒を求める人が増え、甘口でアルコール度数も6度と低めのマッコリの人気に火がついたという。乳酸菌やアミノ酸が多く含まれることも、美容や健康に関心の高い女性の心をつかんだようだ。

 そして昨夏。KARAや少女時代などのK-POPグループが相次いで日本に進出すると、韓流ファンの年齢層が一気に下がり、マッコリをカクテルなどにしておしゃれに楽しむ層が拡大した。

 八田さんによると、韓国でもここ数年、日本のマッコリ人気が逆輸入される形でブームが起き、マッコリのイメージは「おじいちゃんが飲む酒から、若者がデートで楽しむ酒へと変わった」という。

 韓流ブームの「余波」はマッコリにとどまらない。最近では大手食品メーカーが家庭で手軽に韓国料理を作れるよう、「チャプチェ(春雨の炒め物)」や「スンドゥブチゲ(豆腐鍋)」などのもとを相次いで発売。韓国料理店でしか食べられなかったマッコリや料理が、家庭の食卓にも浸透し始めている。【山寺香】

毎日新聞 2011年7月12日 13時44分(最終更新 7月12日 14時16分)

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