【FASHION EVENT REPORT】
11年2月11日(金)~2月17日(木)にかけて、ファッションブランドとしてもデビューする『カオス*ラウンジ』の作品展「カオスラ*ッシン」が
『ミキリハッシン トーキョー』(東京・原宿)にて開催されている。
今回の展示は、新たにファッションブランドとしても立ち上げられた『カオス*ラウンジ』の『ミキリハッシン トーキョー』での取り扱いに併せて企画されたもので、店内には「体を包み込む部分を多くし、染み込ませるように自分のアバターを外に出す。」と言うテーマに基づいてデザインされたバッグ類の他、「ネオ・コス展」にて人気を博した『山口雨』が手掛ける人形、『黒瀬陽平』が“自転車に貼るステッカー”からインスピレーションを受けて、服や様々な素材に貼る事が出来るステッカーなどが並ぶ。
また、「カオスラ*ッシン」を行った理由に対し、『ミキリハッシン トーキョー』のオーナーであるヤマグチソウタは「カオスラウンジのアートをファッション的に翻訳する」という狙いを持って企画された。
初日20時から開催されたオープニングパーティーでは、『カオス*ラウンジ』の藤城嘘、黒瀬陽平、梅沢和木、長見圭祐(ハトラ)、鈴木淳哉(JUNYA SUZUKI)、そして『ミキリハッシン トーキョー』のオーナーであるヤマグチソウタらによるトークショーが行われ、アートとファッションの関係について、各々の意見が交わされた。
尚、「カオスラ*ッシン」後もブランドをミキリハッシンで展開し、3月22日から開催するバイヤー・プレス向け展示会「WHITE」にも展示予定となっている。
| 「ネオ・コス展」でも人気の高かった『山口雨』による人形。今回の展示でもその存在感が際立つ。 |
| 『ハトラ』のロングパーカーを着たマネキンの肩には、『山口雨』による人形の付いた『カオス*ラウンジ』のバッグが掛けられている。 |
| 文字や写真、イラストがコラージュされた『黒瀬陽平』によるステッカー。 |
『カオス*ラウンジ』とファッションレーベルとのコラボレーションのキッカケ
『カオス*ラウンジ』とはアーティスト『藤城嘘』によって、2008年から行われている展示・ライブペイント企画であり、制作・発表ともにネットを中心として活動するアーティストが数多く所属している。
その『カオス*ラウンジ』がファッションと結びつくきっかけになったのは、2010年5月に行われた「うしじま*ラウンジ(仮)撮影会in破滅night」で、モデルであるコスプレイヤー『うしじまいい肉』の衣装制作グループとして、『JUNYA SUZUKI』、『ハトラ』、『BALMUNG』のファッションブランドと、『藤城嘘』、『梅沢和木』らカオスラウンジのアーティストがコラボレーション『まるたん』を発足し、大きな話題となった。
その後、『JUNYA SUZUKI』と『梅沢和木』は、CANDYでのウィンドウディスプレイでの共演も果たし、同年10月に行われた「ネオ・コス展」では、先のグループから『BALMUNG』と『枕 -MACLAW』が入れ替わるようにメンバー構成が変わり、『pixiv』で作品を掲載しているアーティスト『ARiKEM』からインスパイアされ、制作に着手したという「画像アーマー」が展示された。
また、 これまで積極的に『JUNYA SUZUKI』と『ハトラ』を中心に回っているコラボレーションについて、「ファッション界において幼女の為の服はないが、アニメの世界では常に幼女しか出てこないということをスムーズに理解してくれていたから」と語っている。
【INFORMATION】
・カオスラ*ッシン
会場:ミキリハッシン トーキョー内特設ブース
会期:11年2月11日(金)~2月17日(木)
開催時間:12:00~21:00
・ミキリハッシン トーキョー
住所:〒150-0001 東京都渋谷区キャットストリート5-24-2-2階
TEL/FAX:03-3486-7673
営業時間:12:00~21:00
・取り扱いブランド(2月11日現在)
Eatable many orders/FACETASM/Hatten/KEISUKE KANDA/matohu/MOTO/ohta/POTTO/S.NAKABA/… TABOO/written afterwards and more...
【IMPRESSION】
今回の企画において、ヤマグチソウタ氏が「『カオスラ*ッシン』はファッションではない、例えるならば、ジャイアンツ(野球)vsヴェルディ(サッカー)のようなものである。」とトークショーで語った言葉は的を得ている比喩と感じました。
もちろん、ジャイアンツやヴェルディのような親会社が同じという理由ではないですが、「藤城嘘とハトラのコラボには、『引きこもりの為の服』という共通点がある。藤城嘘の好きな女の子の絵は“線”の要素で出来ている、またハトラの作る作品もやわらかい“線”で出来ている。」と言うように、同じ趣向や近しい感性を持ち合わせ、それぞれの舞台がある中での共演が果たされた格好です。
そして、今までのファッションブランドとアーティストとのコラボレーションと、やはり若手同士が自発的且つ対外的にアプローチを行っている事にあると感じています。
個人的に気になる点としては、『POTTO』、『Eatable many orders』、『matohu』、『ohta』といったドメスティックブランドでもナチュラルテイストの落ち着きのあるセレクトを行っているだけに、今回の試みは驚きでした。
ミキリハッシンで取り扱う事に対し、「見た目(素材感・着心地)・ネイムタグ(ブランドイメージ、ブランディング)・デザイナーの人格(デザイナーの目指す所、ビジョン)」の三点を挙げており、上記の取扱いと対比しても、今回は「デザイナーの人格」に対する所が大きなポイントになったのではないかと思います。
事実、ヤマグチソウタ氏は「いままで“オタク”やネットを知らなかったが、だんだん生活やバーチャルに入ってきて、身につけたいと思うようになった。」と語っています。
本企画により、更に風当たりの強さも増すと思いますが、アートマーケットやファッションブランド力が低迷する中で、こういった未開拓地にアプローチしていく事は個人的に好感はもてます。
ですが、やはり商品自体のクオリティーやデザインの幅という点では、まだ深められる余地があるように感じています。
大衆から評価を受けにくい部分はありますが、その辺りが今後の評価を大きく左右してくるのではないでしょうか?
写真、文:スナオシタカヒサ
Photo,Text by Takahisa Sunaoshi Text Assistant by Keigo Isashi,can naomi