ネオコス展 @ ラフォーレ原宿 1F WALL


【EVENT REPORT】

10年10月5日に、ネオ・コス展のオープニングナイトパーティーがラフォーレ原宿1F WALL(東京・原宿)にて開催された。
MIGが主催となった企画『ネオ・コス展』とは、MIGの「強くてカワイイ「MADE IN GIRL」のパワーとクオリティ」をベースにし、企画参加ブランドによる限定アイテムの販売、アート作品の展示が行われたイベントである。
会場には、ファッション業界関係者も多く足を運び、”マジカルファンタジック”なガーリッシュスタイルに身を包んだ女性を中心に注目度の高さを伺えるイベントとなった。
また、限定配布されたオリジナル ビジュアルブックにはMADEMOISELLE YULIA等がモデルに起用されている。

中でも注目は、JUNYA SUZUKI、ハトラ、枕 -MACLAWのファッション界隈と藤城嘘、梅沢和木らカオスラウンジのアート界隈のコラボレーションによる”まるたん”である。
「pixivで作品をアップしているARiKEMからインスパイアを受けた」というディスプレイに展示された”画像アーマー” 、今回ように製作された藤城嘘によるタグデザイン、梅沢和木の作品をプリントした衣料品など文化的背景から見ても”間違いなく買い”のアイテムが出揃った。

今回の企画の為に作成された藤城嘘によるラベルデザイン。また、ハトラでもペインティングパーカーやタグがデザインされた。
JUNYA SUZUKI、ハトラの並ぶラックには、カオスラウンジとの"今が買い"のコラボレーションアイテムが並ぶ。

INFORMATION

【概要】
大きなリボンの結び目のしわ。
スカートが風になびいて、ひるがえる裾。
完璧な形/記号的なイメージ/理想のシチュエーション
ただの「服」じゃつまらない、
いわゆる「コスプレ」で今日一日を過ごすなんて無理!
イメージ通りの「私」を表現したい。時には、想定外の「私」になってみたりもしたい。
時代も、設定も、ストーリーも超えた、
私の日常にぴったりの服。
魔法が使えて/ふわふわのしっぽの/変身して戦う、
そんな私のリアルな世界。
毎日をドラマティックで、スリリング、マジカルファンタジックに過ごしたい!
今日はどんな冒険に出かける?明日はどんなハプニングがまってる?
最高に楽しい「ネオ・コス」で出かけよっ!

参加ブランド:galaxxxy、ハトラ、sina、poem by rabbit、真珠子、初恋てろりすと、枕 -MACLAW、POTTO、maimiallo、MAXU・MAXU、Spank!、BALMUNG、smoooch、まるたん、渡邊真子、JUNYA SUZUKI、mochasse!、syrup、愛☆まどんな

会期:10月5日〜26日(ラフォーレ原宿)、12月1日〜(福岡PARCO)


【IMPRESSION】

新世紀エヴァンゲリオンのオープニングタイトルのフォントがタイトルで使われていたため、もう少しアニメ色(王道のコスプレ)が強い物を想像していましたが、それとは違うラフォーレテイストの纏う意味でコスプレというのが主軸になっているように感じました。

その点に関しては、賛否両論はあるかと思います。
実際、自分がネオコスを感じたのは?と考えると、やはり”まるたん”が最もタイトルに相応しいパフォーマンスを見せてくれました。
ですが、ラフォーレ原宿という場所を考えるとMIGが提示する纏う意味でのコスプレがエンドユーザーには響きやすいとも感じるので、双方からのアプローチがあったからこそ、両者に対する入りやすさが生まれると思います。

何故、”まるたん”を推すか?それは単に作品としてのパフォーマンスだけではなく、所謂”ファッション”と”アート”を生業とする注目の若手が組み合わさって作品を製作した事に文化的意味がある事だからです。
これまでファッションと現代アート作家によるコラボレーションと言うと、一概には言えないですが学生同士のクオリティーの低い時代背景に即していない物やLouis Vuittonと村上隆氏のような大物同士が多かった中、10年代を疾走する両ジャンルのアーティスト同士が組み合わさった事は象徴する出来事だと思います。
以前、CANDYで展示されたJUNYA SUZUKIの衣服に梅沢和木氏がペインティングした一つの”事件”が今回”集った”形になり、これまでスーパーフラットアートに押されていた中”画像アーマー”の落とし込みは、ファッションとアートの境界線に立つ作品に感じました。
ただ、繋ぎ目のビニールテープは「時間がなかった」と言っていたように、どっちつかずの処理になってしまったのが少し勿体無かったです。個人的には、更に作品を深め今後も継続していってもらいたいです。

肝心の服のオススメは、今回初めて外を通してみた”ハトラ”。
デザイナーが「着てみないと分からない部分がある」と言うように、ルームウェアーの延長線上から生まれた衣服は、得意の絶妙なドレーピングにゆったりとしたシルエットで、肌さわりの良いコットンを仕様したアイテム群。特徴でもあるワイヤー遣いは、太さ(輪郭)分けされ、裏(肌)にワイヤー独特の肌の接触の痛みがなく、装飾に終わっていない部分に惹かれました。
また、一人でデザイン〜縫製を行う若手クリエイターが多い中、縫製や縫い代始末といった部分まで品質を保っている部分も好感を持てました。エンドユーザーからすると、一人で作ろうが、百人で作ろうが関係ないですが、学生時代の先生に補佐してもらったり、時間をかけて一着を作っていた頃から比べると質が落ちる傾向にある中、その潜在的な作成部分での拘りが垣間見える事が出来た事も将来性を加味してオススメしたい理由です。

最後に、企画への欲を言えば、第三者に委ねるという事になっているコンセプトの詰め。
タイトルやピックしている物が優れているだけに、もう少し深まれば今より更に実りのあると思いました。
そして、ディスプレイのNOZOMI ISHIGUROの部分を今回の仕様に模様替えして、”画像アーマー”以外にもう少しアート色を強めた物を見たかったです。

Photo,Text by Takahisa Sunaoshi (STUDENTS VOICE.JP)