「会場で関係者にお話をうかがったところ、 キュレーターの黒瀬氏が無許可で販売を視野に入れた展示を考えているらしい」 上の記述について、カオス*ラウンジ事務局より連絡があり、誤りであるので 記事の訂正をお願いしたいという旨の依頼を受けましたので、 周辺の詳しい事情について調べをまとめ、ここで追記記事を書かせていただきます。 ・カオス*ラウンジ事務局(カオスラウンジ運営委員会)からのメールの抜粋 >ホットニュース内の記事におかれまして >>ただ会場で関係者にお話をうかがったところ、キュレーターの黒瀬氏が >>無許可で販売を視野に入れた展示を考えているらしいことや、 >上記のように書かれていますが、一切そのような事実はありません。 >ARiKEMさんはもちろん、ARiKEMさんの作品へご参加頂いている方の許可を >頂かずに販売をすることはございません。 >もしこの件について、既に販売が決定しているという情報をお聞きであれば >それは誤りですので、その情報源を教えて頂ければ幸いです。 >ご存知のように会期開始直前まで作品内容を編集していたという事情も相俟って >不安にさせてしまっていて本当に申し訳ございませんが、 >皆様にご協力頂いているものを、勝手に販売し、その利益をカオス*ラウンジのも >のにする >などいうことは一切考えておりませんし、現実にも起こりませんので >以上のことをご確認頂いた上で、ホットニュースの記事が事実ではないことを >編集頂きますようお願い申し上げます。 >他の作家の皆様にも、作品の販売や展示についてはそれぞれ相談させて頂いてお >りますので、 >>無許可で販売を視野に入れた展示を考えているらしいことや、 >といった点はとくに、訂正頂きますようご協力お願いいたします。 >また、ARiKEMさんの作品に関しては、ARiKEMさんご本人を通して、作品内に使わ >せて頂いている作家さんにご連絡している形式になっておりましたが、 >今回のようなこともありましたので、直接わたくしどもに率直にご意見を頂ければ幸いです。 >ARiKEMさんへのご連絡も、こちらから差し上げますので、 >ご遠慮なく、よろしくお願いいたします。 >何卒、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。 >カオス* ラウンジ一同 どうやら、カオスラウンジ運営としては、作品を作家に許可を得ず販売したり、 そうした形で意図的に利益を得ようとするような考えは一切否定しているスタンスのようです。 では何故、12月11日の当日、会場で、関係者からそのような誤った情報を 伝え聞くことになったのでしょう? 実は、このお話は、問題のコラージュ作品の当の制作者であるところのARiKEM氏から 会場で直接おうかがいした話だったのです。 不思議に思い、カオスラウンジ事務局に詳しい質問のやり取りをしていたところ、 この件を気にかけてくださった梅沢和木氏(カオスラウンジ中心作家のお一人)と、 ARiKEM氏からそれぞれ詳しいお話しをうかがうことができました。 以下に一連の経緯を表すと、 1.ARiKEM氏がナンバガ(ナンバーガール)企画を立案。 (音楽グループ、ナンバーガールのベストアルバムより全34曲を題材に、web上で絵描きを募り、34枚からのオマー ジュイラストを制作し、それらを素材に巨大なコラージュ作品を作り、展示するという企画) 2.2010年12月カオスラウンジで展示してはどうかという提案が持ち上がる。 話し合いの遅れのため、企画巨大コラージュ作品の素材になった作品の作者各位へ展示許 可を申請する連絡がぎりぎりになって行われる。 3.この時点で初めて、黒瀬氏からARiKEM氏へ、きちんとした販売に関しての確認が行われ たが、ARiKEM氏個人の判断ですぐには決定できない用件のため、正式な決定が後手後手に なってしまう。 4.スケジュールの都合から、作者各位への許可を得たあとでコラージュの本制作の仕上げが 行われたため、素材作者への見本の提示ができなかった。 5.企画展示カオスラウンジの開催期間が始まってから、最終的に、 作品の制作費用などの問題からARiKEM氏より黒瀬氏に「販売の方向で検討」という形で暫定 的な連絡が取り交わされる 6.12月11日に来場したぼくが、ARiKEM氏より「今回のナンバガ企画コラージュ完成作品につ いては、販売も視野に入れての展示として考えていく方向で検討してもらっているらしい」という 話を聞く こうした流れの中で、今回のような情報の齟齬が発生したようです。 考えられないほどの勢いでアウトサイダー・サブカルチャーの文脈から大量の作品を取り込み 拡大し、ハイアートの先端につきつけるカオスラウンジですが、その速度に内部が追いついて いないという内情があるようです。 特にスケジュールと運営費用に追われ、今回の件も事務連絡上の時間と人員の余裕さえあれ ば起こらずに済んだ事故であったといえるかもしれません。 とはいえ、逆にいえば、いくら関係者・主催者が真摯な姿勢で取り組んでおり、作家を尊重する 信念があったとしても、一歩間違えば取り返しのつかない不誠実を招きかねない状況が、今回 ばかりでなく、長らく続いてしまっている現状があるといえます。 展示ごとにあまりに膨大な作家・作品数を招聘しているために、返送する郵送料がまかなえず 返却が遅れている作品や、作品が購入されたにも関わらず作家へのマージンの分配が遅れ ている話などを身の回りでよく耳にします。 (作品売買に関する作品や金銭のやり取りがルーズでゆっくりしていきがちなのは、僕自身が 以前美術商として働いていたことがあるので、美術界隈全体の風潮として理解しているのです が、カオスラウンジはギャラリーやコミッショナーと作家・作品が極端な言い方をすればEメール 一通でつながっているようなこともあり、逆にそれでつながれるのが強みや可能性でもあると 認識しているので、なおさらきちんとしたインフラの整備が期待されます。) 現在「カオスラウンジ」は、なんらかの形で資本金を補填し、スタッフを増員しなければならない ところへきており、またそうした部分の問題解決が確実に遅れているということがいえます。 また、資金の拡充や中心スタッフの増員が難しいのであれば、正常に運営可能な規模へ活動 を縮小する必要があるでしょう。 それではそろそろ、『エイチシーの【新しい】カオスラウンジ【自然】の追記記事』を まとめたいと思います カオスラウンジは日本で活動していきたい現代美術作家やアウトサイダーアーティスト達にとっ て希望と可能性の光であると共に、不安定で未成熟な企画展示活動・ムーブメントであり、 しかしその中心に携わって努力する方達は、極めて真摯に、作家、そして作品の未来と、 表現の地平を切り開いていこうとしていることがはっきりと見て取れます。 多くの遠巻きに見つめる印象論の声の中には、 カオスラウンジは不特定多数の若手作家を利用し搾取する悪徳の集団である、 という声が少なからずあり、そしてそうした印象論の原因になる、客観的事実としての運営上 の問題点、構造上の欠点があることも確かです。 しかしカオスラウンジは展示を重ねながら、確実に発展・洗練され、事務面での問題も先延ば しになりつつ少しずつ改善されていることも確かな事実です。 アーティストという職業が存在できなくなりつつある日本という国において、 絵を描いて生活する者、アーティストとして日本で生きていく者にとって、 カオスラウンジは今、最も動向に注目すべき企画活動の一つといえるでしょう。 2010.12.14 記 エイチシーの【新しい】カオスラウンジ【自然】にモドルグリ エイチシーのホットニュースにモドルグリ |