通信のコストと速度の問題も大きい。「マレーシアのDCを使うと、日本との通信費が従来の3倍以上かかる」(ヨコオの山下氏)。データ検索や演算処理に影響を及ぼす「通信の遅延」もある。例えば、「首都圏内」と「首都圏―北海道」の伝送時間を比べた場合、100分の数秒程度の差が出る可能性がある。大容量データを扱う企業にとってはDCを選択する際の大事な要素となる。
クラウドやDCで遠隔地のサーバーを使う際には、情報セキュリティーの確保も必須の条件だ。先月、ソニー子会社が世界で1億人分の個人データが流出したと発表。1日には米グーグルが電子メールサービスの利用者に対してサイバー攻撃があり数百人の個人情報が盗まれたことを公表している。社内外を問わず情報システムを巡るリスク管理の必要性が高まっているだけに、外部のサービスを利用するのであれば、高度なセキュリティー技術を持つ専門事業者を選ぶことが重要になる。
■IT市場、復興需要で回復へ
データ保管の一極集中リスクが認識され始めたとはいえ、いまだに遠隔地へ情報を置くことに不安を抱く企業は多い。ヨコオでも「機密性の高いCAD(コンピューターによる設計)のデータだけは(本社から目が届く)国内に置く」と決めており、「分散」か「集中」かを巡って企業も揺れているのが実態だ。
2011年の国内IT市場は10年に比べ大幅に減少する見通し(IDCジャパン予測)。しかし12年は企業や自治体などで震災復興需要が発生し、クラウド導入やDC利用、事業継続計画(BCP)の策定が盛んになることでハード、サービスとも需要は回復に向かうという。
開発や生産、営業など経営の根幹に関わるデータの管理・運用は、企業の生命線。「(それらをどう守るかの)対応策を取引先に示せないと、海外企業からはリスクとみなされることもある」(ヨコオの深川氏)。IDCジャパンによると「この夏さえ乗り切れば大丈夫、という企業もでてくる」というように、情報システムのリスク管理を一時的な問題ととらえる風潮もあるという。しかし災害は思わぬ形で襲ってくる。目に見えない「データ」の重みを認識し、事業継続に向けて最大限の安全策を講じることが、企業の競争力にもつながっていく。
(斉藤美保)
トヨタ自動車、インターネットイニシアチブ、東京電力、ヨコオ、ソフトバンク、データセンター、インフォリスクマネージ、グーグル、マイクロソフト、孫正義、カルビー、富士通、CTC、サーバー、伊藤忠テクノソリューションズ、日商エレクトロニクス、KDDI、GM、日本IBM、日本銀行、中部電力、ソニー
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日経平均(円) | 9,925.92 | -143.61 | 12日 大引 |
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NYダウ(ドル) | 12,505.76 | -151.44 | 11日 16:30 |
英FTSE100 | 5,866.46 | -62.70 | 12日 12:53 |
ドル/円 | 79.72 - .74 | -1.02円高 | 12日 20:47 |
ユーロ/円 | 111.18 - .22 | -3.00円高 | 12日 20:47 |
長期金利(%) | 1.090 | -0.045 | 12日 17:23 |
NY原油(ドル) | 95.15 | -1.05 | 11日 終値 |
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