【震災から4カ月】記者たち 現場からの思い 「悲しみ」を悲しめない 東北総局 荒船清太
2011/07/12 09:32更新
記事本文
避難所で白髪の70歳代の男性が発した言葉に、返す言葉を失った。
「俺は女房亡くしただけだから」
ゴザの上にあぐらをいて夕食用の炊き出しを食べながら、男性は話した。出先にいた自分は無事で、宮城県石巻市の自宅に残った妻は津波で流されて亡くなったという。
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記事本文の続き 隣には児童の7割が亡くなった石巻市立大川小学校に通う孫2人と妻を亡くした男性(70)が寝泊まりしていた。
「皆と違って俺の孫子(まごこ)は無事だった。悲しんでいらんねえんだ」。白髪の男性は続けた。
記者は、大川小の悲劇を調べていた。その隣の男性を取材するはずだった。
身内を亡くした悲しみに人数の多寡は関係ない。高齢男性の言葉は、震災の悲劇の根深さを物語る。その悲しみを置き去りにしてしまうような気がして、記者が大川小の遺族の取材で来ていたことは最後まで白髪の男性に言えなかった。
震災は、多くの悲しみをもたらした。だが、その悲しみを悲しむことすらできない人はいまだ絶えない。感情の介入を拒むような男性の声色が、いまも耳にこだまする。
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