津波で住民の多くが車を失った宮城県南三陸町で10日、避難所で暮らす被災者同士が数台の車を協力し合って使う「カーシェアリング」が始まった。被災者らは巡回バスなどで町外のスーパーやコインランドリーに通っており、新しい移動手段として期待されている。
約500人が避難生活を送る観光ホテル「南三陸ホテル観洋」には2台の中古自動車が無償提供され、避難者らに使い方などが説明された。提供したのは社団法人「ドコデモエコカー」(神奈川県横浜市)。カーシェアリングの先進国・ドイツからの支援を受けた。
利用希望者には事前に登録してもらい、車のキー代わりになるカードを発行。利用者はホテルのフロントなどで予約を入れ、使う際に車にカードをかざすとロックが解除される。保険や燃料の代金は当面、同法人が負担する。
同法人の小沢真男代表理事は「コンピューターで利用者を把握できるので、万一のトラブルにも対応できる。多くの被災者に利用してほしい」。同ホテルで避難生活を送っている佐藤弘貴君(12)は「この車で仙台に暮らしているお兄ちゃんに会いに行きたい」と話した。(三浦英之)