宮城県の被災地の仮設住宅で、独り暮らしの高齢者が、誰にもみとられないまま、脳内出血や心臓病とみられる症状で相次いで亡くなっていたことが分かりました。今回の震災で、仮設住宅での孤独死が明らかになったのは初めてで、被災者の孤立を防ぐ対策や健康管理の在り方が改めて問われる事態となっています。
独り暮らしの高齢者が亡くなっていたのは、宮城県の名取市と塩釜市の仮設住宅です。このうち、名取市にあるおよそ180戸の仮設住宅では、先月11日の午前、独り暮らしの81歳の女性がトイレで倒れて亡くなっているのを訪ねてきた親戚が見つけました。死因は脳内出血の疑いで、前の日に亡くなったとみられています。女性は震災のあと2か月半にわたって避難所で暮らし、健康診断で高血圧と指摘されていました。亡くなる2週間ほど前に仮設住宅に移りましたが、住民によりますと、住民がお互いの生活を見守ったり、保健師などが巡回したりすることはなかったということです。また、塩釜市にあるおよそ120戸の仮設住宅では、先月29日の夕方、独り暮らしの79歳の男性が布団の上に倒れて亡くなっているのを連絡が取れないのを心配して訪ねてきた家族が見つけました。明け方に急性の心臓病で亡くなったとみられています。男性は、自宅が津波で水につかりました。2か所の避難所で3か月以上生活し、亡くなる2週間ほど前に仮設住宅に移りました。男性の両隣の部屋は空き室で、家族は「隣に誰か住んでいたら、異変に気付いてもらえたかもしれない。入居者の安否を周囲の人が把握できるような対策を取ってほしい」と話しています。今回の震災で、仮設住宅での孤独死が明らかになったのは初めてで、被災者の孤立を防ぐ対策や健康管理の在り方が改めて問われる事態となっています。