ルネサス:「月末に在庫払底」 多業種で半導体不足懸念

2011年5月18日 21時9分 更新:5月18日 22時2分

11年3月期決算や復旧の見通しなどを説明する赤尾泰社長=東京都千代田区内で2011年5月18日、竹地広憲撮影
11年3月期決算や復旧の見通しなどを説明する赤尾泰社長=東京都千代田区内で2011年5月18日、竹地広憲撮影

 半導体大手、ルネサスエレクトロニクスの赤尾泰社長は18日の決算発表会見で「5月末には在庫が尽きる」と述べ、自動車や家電向けの半導体の供給不足が6月以降、一段と深刻化するとの見通しを明らかにした。東日本大震災で被災した主力の那珂工場(茨城県)は6月に一部再開し、10月には他工場の代替生産分も合わせて震災前の供給水準に戻る見通しだが、夏場に向けて幅広い業界で部品不足の懸念が続きそうだ。【竹地広憲】

 「那珂工場の復旧をもっと早められないか、努力している」。赤尾社長は18日の会見で、那珂工場の復旧を急ぐ考えを強調した。

 那珂工場での生産は6月から再開するが、取引先に製品として供給できるのは約3カ月後の8月末。海外への委託生産の拡大や国内の別工場での代替生産を進め、10月末までに震災前の供給量を回復させる計画を示した。

 ルネサスは自動車制御用のマイコンや携帯電話向けの半導体で高いシェアを持ち、6月以降、部品不足が顕在化する恐れがある。日立製作所の子会社でカーナビ大手のクラリオンは在庫の部品で当面をしのぐが、「ルネサスの復旧計画が順調に進むかどうかはわからない」と不安を隠さない。赤尾社長は不足が続く間「震災前の実績に応じて公平に供給する」と説明したが、供給難で他社に顧客を奪われる可能性もありそうだ。

 ルネサスが18日に発表した11年3月期連結決算は1150億円の最終赤字。昨年合併した旧NECエレクトロニクスと旧ルネサステクノロジの10年3月期の単純合算では1378億円の最終赤字だった。経営構造改革の費用に加え、被災した10拠点の修繕費など震災関連の特別損失495億円が響いた。12年3月期の業績予想は、震災の影響が見極められないことから公表を見送った。

 マイコンで世界トップシェアを持ちながら、マイコン以外のデジタル家電向けの半導体事業などは赤字が続いており、11年3月期の営業黒字は145億円にとどまる。赤尾社長は「もうからない製品の集約を速やかに進める」と述べ、7月に事業計画を発表する方針を示したが、震災復旧と経営構造改革を同時に進めるという難題に直面している。

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