2011年5月17日 12時51分 更新:5月17日 12時59分
東広島市の山陽自動車道で走行中の高速バスのハンドルを奪ってバスを横転させたとして、殺人未遂容疑で逮捕された鹿児島大の男子学生(22)について、広島地検が行った精神鑑定で、学生が事件当時、物事の是非・善悪を識別することのできない「心神喪失」の状態だったとする鑑定結果が出たことが、捜査関係者への取材で分かった。勾留期限は17日。責任能力がなく刑事責任を問えないことから、地検は同日までに、学生を不起訴処分とした。
広島県警の調べでは、バスは2月25日午後11時55分ごろ、大阪から鹿児島に向けて時速約100キロで走行中、2回蛇行した後に路肩に乗り上げ横転した。乗客・乗員12人が軽傷を負った。県警は、運転手からハンドルを奪って横転させたとして、学生を逮捕。当初、「就職活動で悩みがあった。自殺しようと思った」などと供述したとされる。しかし、事件直前に車内で「降ろせ」とわめくなど不可解な言動があったことから、地検は3月から約2カ月間、本格的な精神鑑定を実施していた。【北浦静香】