2011年5月17日 2時32分 更新:5月17日 9時3分
震災被害で宮城県内の沿岸部の小中学校は授業に大幅な遅れが出ているため、夏休みを短縮したり、学習塾が無料で授業をするなどの対策に乗り出した。ただ、通学路ががれきに覆われるなどし、保護者らからは不安の声も出ている。
町全体が被害を受けた南三陸町の小中の入学・始業式は約1カ月遅れの大型連休明けだった。同町教委などによると、平日の授業を増やすほか、夏休みの短縮を検討している。しかし、水道復旧が遅れたり、道路事情が悪いためスクールバスが必要な学校もあり、保護者の女性(32)は「運動会などができるか不安」と話す。
名取市のほとんどの小中も始業式は約10日遅れで、夏休みを3日間減らす方針だ。市立ゆりが丘小教務主任は「授業時間は確保できそう」と話す。校舎の一部が水没するなどした亘理町の小中も始業式が約2週間遅れ、夏休みでカバーする。
一方、学習塾も対応し、県内で28教室を展開する「あすなろ学院」(仙台市)は小5~高3の無料授業をスタートさせた。約1カ月間、何科目でも受講できる。塾生以外も受けられ、教材は貸し出される。同市青葉区の中学3年の女子生徒(14)は「受験に間に合うか心配だったので安心した」と話し、担当者は「生活が落ち着き、子供や保護者に遅れへの不安が出てきたようだ」と言う。【田中博子】