2011年7月11日22時41分
九州電力玄海原子力発電所がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長の実弟が社長を務める建設会社「岸本組」(本社・同県唐津市)が、1994〜2009年度(決算期は5月〜翌年4月)の16年間に九電から少なくとも約54億円分の工事を受注していたことが分かった。玄海原発2、3号機の運転再開問題で、九電は玄海町長の同意を再開に向けた条件の一つとしていた。
佐賀県に提出された岸本組の工事経歴書によると、16年間に玄海原発内の建設や修繕で約54億円分の工事を九電から受注。同じ期間に、電源立地地域対策交付金や県核燃料サイクル補助金など電源三法交付金を利用した町発注工事も約23億7千万円分受注している。
岸本町長は岸本組の専務から県議を経て2006年8月に町長就任。以来、岸本組の年間売上高は20億〜50億円台を推移している。
岸本町長の資産報告書によると、町長は岸本組の7520株を保有し、09年度の保有割合は12.5%で第3位の株主。町長によると、町長就任以降、計約1千万円の株の売却益を得たという。
岸本町長は取材に「九電からの受注額も、町からの受注額も町長就任以降、増えていない。やましいところは全くない。岸本組の株は今、無配当だ」と語った。
尾崎行雄記念財団(東京都)の08年調査によると、首長や議員が権限や影響力を悪用して自分か特定の第三者の利益を図ることを防ぐ「政治倫理条例」を設けているのは、佐賀県では20市町のうち2市だけ。玄海町も設けていない。岸本町長は「議会で要望があれば制定を考えてもいい」と話している。