福島県南相馬市の農家から出荷された肉牛から、国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された問題で、福島県が餌のわらを調べたところ、国の目安を大幅に超える1キログラム当たりおよそ7万5000ベクレルの放射性セシウムが検出されました。わらは原発事故のあとも屋外に置かれていたということで、福島県は、ほかの肉牛農家についても餌の管理状況を確認するため立ち入り調査を始めました。
この問題は、福島県南相馬市の農家で飼育され、東京都の食肉処理場に搬入された11頭の牛から国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたものです。福島県は10日、この農家から飼育状況について聞き取り調査を行うとともに、餌のわらや飼料、それに井戸水の提供を受けて専門機関で分析していました。その結果、餌のわらから1キログラム当たりおよそ7万5000ベクレルの放射性セシウムが検出されたことが分かりました。これは、わらが水分を含んだ状態に換算すると、餌に使用できるとされる国の目安のおよそ56倍に当たります。福島県によりますと、わらは原発事故のあと4月上旬まで屋外に置かれ、その後、出荷直前まで牛に与えられていたということで、この農家は「原発事故のあと、配合飼料が不足していたので、使ってしまった」と説明しているということです。福島県は、ほかの肉牛農家についても餌の管理状況に問題がないか確認するため、まず計画的避難区域と緊急時避難準備区域にあるおよそ260の農家に対し、11日から今週末にかけて立ち入り調査を行い、その後、調査の対象を県内すべての肉牛農家に広げることにしています。また、出荷する前に肉牛に放射性物質が含まれていないか調べるモニタリング検査を強化する方針です。